セイント 作品情報
せいんと
香港の厳格な孤児院で育ったジョン・ロッシは幼い頃、手先が器用なことが災いして目の前で初恋の少女を失った。その忌まわしい思い出を胸に刻んだまま大人になった彼は、サイモン・テンプラー(ヴァル・キルマー)と名乗る。彼は富豪になることを夢見て、得意の変装と華麗なテクニックで怪盗となり、国際的なお尋ね者となっていた。ロシア帝国を復活させ、最初の皇帝として君臨しようと野望を抱く石油王のイワン・トレティアック(レード・セルベッジア)の金庫からマイクロチップを奪ったサイモンは、凶暴なイワンの息子イリヤ(ヴァレリー・ニコラエフ)との死闘の末に、隙を見て逃亡に成功。得意の変装でモスクワを脱出した彼は、その後、再び変装してイワンと取り引きするが、低温核融合の方程式を完成した女性科学者エマ・ラッセル博士(エリザベス・シュー)から方程式を盗み出すよう、逆に新たな依頼を受ける。イワンは新しいエネルギーを利用してロシア帝国を復活させて実権を握ったうえに、果ては世界征服をもくろんでいた。英国に飛んだサイモンはエマに接触するが、いつしか彼女を本当に愛してしまう。彼女から方程式を盗むことを躊躇したサイモンに、イワンは約束を果たさなければ彼女を始末すると告げ、サイモンは方程式を彼らに渡す。ロンドン警視庁からサイモンの正体を聞かされたエマは、彼のいるモスクワに向かう。サイモンと再会したエマだが、2人ともイワンの率いる軍隊に拘束されてしまった。何とか逃げ延びた彼らは、地下組織のメンバーの力を借りて脱出を試みる。イワン一味の煽動で、モスクワ市内に一触即発の不穏な空気が漲る中、サイモンはエマがアメリカ大使館に逃げ込んだのを確かめた後、姿を消した。例の方程式が未完成だったため、低温核融合装置を完成できないでいたイワンはカーポフ大統領に面会し、装置が完成したと嘘をつき、莫大な大金をだましとることに成功。それを知ったサイモンは、完成方程式をロシアのボドビン博士(ヘンリー・グッドマン)に渡し、大統領の部屋に忍び込んでイワンの陰謀を明かすが、2人とも連行されてしまう。イワンは計画どおり大統領を糾弾し、怒りを爆発させた民衆は大統領とサイモンにその矛先を向けた。その時、ボドビン博士が装置を完成させ、低温核融合が実現。イワン一味は反逆罪で逮捕され、サイモンはイリヤを倒す。エマの記念講演に現れたサイモンは、ロンドン警視庁の面々を出し抜いて、またも逃げおおせた。
「セイント」の解説
ハイテクを駆使し、聖人の名を使った12人の男に変装する神出鬼没の怪盗の活躍を描いたサスペンス・アクション。レズリー・チャータリスの冒険小説から生まれ、数々の映画やロジャー・ムーア主演のTVシリーズ『セイント/天国野郎』など映像化も多いヒーローを、その誕生秘話も含めて現代風なアプローチで描いている。監督は「愛という名の疑惑」のフィリップ・ノイス。製作は「ドライビング・ミス・デイジー」のデイヴィッド・ブラウン、「チャイナタウン」のロバート・エヴァンス、「硝子の塔」のウィリアム・J・マクドナルド、「今そこにある危機」のメイス・ニューフェルドの4人の共同。撮影は「007/ゴールデンアイ」のフィル・ミュークス、音楽は「ザ・クロウ」のグレアム・レヴェル。主演は「ゴースト&ダークネス」のヴァル・キルマー、共演は「リービング・ラスベガス」のエリザベス・シュー、「ビフォア・ザ・レイン」のレード・セルベッジアほか。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1997年6月28日 |
---|---|
キャスト |
監督:フィリップ・ノイス
出演:ヴァル・キルマー エリザベス・シュー レード・セルベッジア ヴァレリー・ニコラエフ ヘンリー・グッドマン イヴゲニー・ラザレヴ イリーナ・アペクシモーナ |
配給 | UIP |
制作国 | アメリカ(1997) |
上映時間 | 116分 |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2023-12-03
「セイント」は、バットマンやジム・モリソン、エルヴィス・プレスリーなどを演じてきたヴァル・キルマーが、12人の聖人の名を使い分ける怪盗に扮した冒険アクション映画だ。
暗い少年時代を経て、世界を股にかける大泥棒になったセイントこと、サイモン・テンプラー。
純粋な心を持つ科学者エマと恋に落ちた彼が、ロシア帝国の復活の野望に燃える大富豪トレティアックの陰謀を打ち砕くのだ。
この映画の元ネタは、ロジャー・ムーアが1960年代に主演した、TVシリーズ「天国野郎/セイント」。
野暮ったい親爺から謎めいた芸術家の青年まで、クルクルと変装してみせるヴァル・キルマーの演技が楽しい。
その軽いテイストの一方で、いかにも寒そうなロシアでのロケによる映像が、重厚なサスペンスを醸し出していると思う。