デカローグ<第10話 ある希望に関する物語> 作品情報
でかろーぐだいじゅうわあるきぼうにかんするものがたり
会社員のイェジ(イェジ・シトゥール)とロック・シンガーのアルトゥル(ズビグニェフ・ザマホフスキ)兄弟の父が亡くなった。見るからにうらぶれた父の部屋で、二人は膨大な切手のコレクションを見つける。男が訪ねてきて父に金を貸していたと言う。借金のカタに切手が欲しいようだが兄弟は金を準備すると答える。二人はイェジの息子に飛行船が描かれた三枚の組切手を与え、アルバム一冊を切手交換会に持ち込むが、そこで父が大コレクターだったこと、コレクションに途方もない価値があることを知る。イェジは慌てて息子から切手を取り返そうとするが、既に交換したあと。交換相手の青年を叩きのめし、切手を買ったという切手商を訪れるが、体よく追い返される。アルトゥルは囮捜査で切手商をはめて切手を取り返す。イェジは父のメモから「赤のメルクリウス」という切手があればコレクションが完璧になると知る。例の切手商が世界で唯一の「赤のメルクリウス」の持ち主を教えると言ってきた。持ち主は彼の持っている切手と交換したい、彼の切手との交換条件は、腎臓病の娘のために二人のうちのどちらかの腎臓をくれというもの。血液型が合うイェジは悩みに悩むが、コレクションのために承諾する。イェジが退院し、アルトゥルは「赤のメルクリウス」を見せる、しかし手術の日に泥棒が入り、これ以外の切手は全部盗まれていたのだった。泥棒が進入したのはイェジが面倒くさがって防犯装置を切っていたからだった。兄弟は疑心暗鬼になってそれぞれに相手が犯人かもしれないと刑事に密告する。ある日、イェジは郵便局で最新の記念切手をワンセット買い(窓口係は第6話のトメク少年)、出口でアルトゥルとすれ違う。すると通りの向こうに例の借金の男、子供を騙して切手を取り上げた男、それに切手商が挨拶を交わす姿が見えた。兄弟は父のアパートで会い、お互いに、実は警察に兄弟が犯人かも知れないと密告したことを告白する。そして二人は買ったばかりの同じ記念切手を並べ、笑い転げるのだった。
「デカローグ<第10話 ある希望に関する物語>」の解説
旧約聖書の“十戒”をモチーフに、人間世界の様々な問題、事件、感情、人間関係、運命を描いた10のエピソードからなる連作の人間ドラマ。それぞれ1時間ずつのエピソードで、当初テレビのミニシリーズを想定して製作されたが、ヨーロッパ各国の劇場で上映された。10の挿話はそれぞれに独立した作品となっているが、登場人物はいずれも同じワルシャワ効外の集合住宅の住人で、ある挿話の主人公が他の挿話に脇役として顔を見せる。監督は本作の評価がきっかけで国外に活動の拠点を移し、「ふたりのベロニカ」「トリコロール三部作(青の愛/白の愛/赤の愛)」のポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキ(95年死去)。製作のリシャルド・フートコフスキ、脚本をキェシロフスキと共同で手掛けるクシシュトフ・ピェシェヴィチ、音楽のズビグニェフ・プレイスネルは、いずれも以後キェシロフスキ監督の全作品に参加。全10話中第9話まで、それぞれ異なる役柄で登場する謎の青年はアルテュル・バルシス。ちなみに、第5話と第6話はそれぞれ劇場用長編映画に再編集され、「殺人についての短いフィルム」「愛についての短いフィルム」としてすでに公開済だが、構成やエンディングなどが異なるため掲載した。89年ヴェネチア映画祭国際映画批評家連盟賞、88年ヨーロッパ映画グランプリ受賞。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1996年1月20日 |
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キャスト |
監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
出演:ズビグニエウ・ザマホフスキ イェジー・スツール ヘンリク・ビスタ オラフ・ルバシェンコ マルシエジュ・スツル エルジ・トゥレク アンナ・グロノスタジ ヘンリク・マシェレク エルズビエタ・パナス ダリウス・コザキエキッツ グレゼゴルツ・ワルショ ツェザリ・ハラシモヴィッチ |
配給 | シネカノン |
制作国 | ポーランド(1988) |
上映時間 | 57分 |
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