善魔 作品情報

ぜんま

T新報社の社会部記者三國連太郎は、部長の中沼より、家出をした某官庁官吏北浦氏の妻伊都子の動静をさぐるように命じられた。個人の私事に立ち入ることを潔しとしない連太郎も、渋々ながらまず長野原に隠棲する伊都子の父を訪ね、伊都子の妹三香子の案内で久能山麓の親友の家にいる伊都子に会いその心境をきいた。家出の理由は、ただ夫北浦と性格の合わないことを発見したからだという伊都子の説明のまま、連太郎は新聞に発表しないことを約して帰ったが、他の新聞社が「昭和のノラ」などと書き立てたので、連太郎もこの会見記を記事にした。中沼は結婚前の伊都子とは友達でお互いに深い好意を持っていたので、この事件をあばき立てることを好まず、それが社長や編集長の気に入らず左遷されようとした。連太郎と三香子との間にはこの事件以来淡い恋が芽生えていたが、更にこの事以来、伊都子と中沼との間にも文通があり、中沼の心は再び伊都子にひきつけられて行った。日頃肺の弱かった三香子が重態に陥ったとき、伊都子は静岡から長野原への途次中沼に遭い、その心を打ち明けられるが、北浦との離婚問題とそうしたことが一緒になって考えられることがいやでことわった。中沼はこれまで関係のあった女鈴江とも手を切ってしまった。長野原に行っていた連太郎は、死前の三香子と結婚式をあげたいといって中沼を立会人に頼みに帰って見ると、中沼は社もやめ、北浦にも伊都子に対する気持ちをぶちまけてしまっていた。連太郎は駅で、中沼を待つ鈴江と出会い、彼女の中沼への本当の気持ちを知る。連太郎は中沼に長野原へ同行してくれるのも伊都子に会いに行くためだろうと不満をもらすが、長野原についたときには、すでに三香子は安らかな永遠の眠りにはいってしまっていた。しかし、連太郎の希望で、死せる花嫁との結婚式が、父了遠、伊都子、中沼の立ち会いで行われた。更に伊都子の手を求めようとする中沼に、連太郎は鈴江を不幸にしたことをなじる。伊都子は自分は北浦を不幸にした上更に鈴江を不幸にしたくはないからといって、中沼を東京へ帰すのだった。丘の上に三香子の屍を焼く煙が白くのぼっていた。

「善魔」の解説

製作は「女の水鏡」の小出孝で岸田国士の原作より、「火の鳥(1950)」の野田高梧が木下恵介と共同で脚色している。監督は「カルメン故郷に帰る」に次ぐ木下恵介の作品である。出演者は「奥様に御用心」の淡島千景、俳優座の千田是也、「宮城広場」の森雅之、「三つの結婚」の桂木洋子、「カルメン故郷に帰る」の笠智衆、小林トシ子などである。他に三國連太郎の芸名で新人がデビューし、同名の役を演じている。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督木下恵介
原作岸田国士
出演淡島千景 千田是也 森雅之 三國連太郎 桂木洋子 笠智衆 小林トシ子 楠田薫 中村伸郎 宮口精二 三津田健
配給 松竹
制作国 日本(1951)
上映時間 108分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-08-20

クリストファー・ノーラン監督作オッペンハイマーを観賞し,其の独特なスタイルと共に甦った映画の一本が本篇主人公の葛藤

最終更新日:2024-08-30 16:00:01

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