人魚昇天 作品情報
にんぎょしょうてん
終戦直後の荒んだ日本--復員した健二には、身寄りのない漁師の娘トキという愛人があったが、行方知れずを幸い叔父の源市は利害関係から健二を慕っていた網元の娘お栄と祝言させた。気の進まぬままにポンポン漁船で結婚式場に向う健二。そのとき海底から、突然「健ちゃんを返せ!」と無気味な声とともにトキが浮び上り、健二の腕をつかむや一瞬のうちに海中へ消えた。その頃、瀬戸内海に密輸船を狙う海賊船が横行していたが、その中に、海賊船が現れる前に必ず一人の裸女が目標船の甲板に現れ、しかも品物は半分しか奪ってゆかないという不思議な船が出没した。この海賊の首領は健二とトキで、彼らの船はいつしか人魚号と呼ばれるようになった。一方、健二との結婚に破れたお栄は、健二を慕う一念から必ず彼を捉えようと、船の出入りの激しい高松の親戚・見晴亭で見張っていた。そんなお栄に目をつけたのが、人魚号の跳梁をねたむ同じ海賊船・荒鮫号の親分、しきりと彼女に言い寄った。その後、健二は、斬る射つの乱暴をはたらく偽人魚号出現の噂を耳にした。それはトキへの復讐に燃え、荒鮫号に乗組んだお栄だった。そして間もなく悲劇がやってきた。その夜、密輸船玄海丸を二隻の人魚号が襲った。玄海丸の韓国人、鄭は度々の襲撃に備え、船に時限爆弾をしかけていた。玄海丸から積荷を奪おうと両船の海賊が乗移ったとたん、轟然たる爆発。海に落ちた海賊の間ではトキとお栄が闘っていた。一瞬、両者の短刀がそれぞれの胸に。死闘は終った。海賊船は急航してきた巡視船に押えられ。健二の手には手錠が。このとき健二は、二匹の人魚が腕を組み、海中から月のある空へ昇って行くのを見た。
「人魚昇天」の解説
瀬戸内海の景勝地高松、女木島附近に長期ロケをした海洋活劇で、原作は火野葦平。関沢新一・浅野辰雄が共同で脚色、田口哲が久方振りに監督した。撮影は谷口政勝。「無鉄砲一代」の三橋達也、「自殺を売った男」の泉京子らに、原作者火野葦平も特別出演する。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:田口哲
原作:火野葦平 出演:三橋達也 泉京子 田代百合子 丘寵児 若月輝夫 稲木茂 立川雄三 森章太郎 内田良平 生方功 家野繁次 恩庄正一 小林正 河津清三郎 市川春代 尾上菊太郎 田中春男 国友和歌子 横山エンタツ 清水元 田崎潤 大東弘明 火野葦平 |
---|---|
配給 | 松竹 |
制作国 | 日本(1958) |
上映時間 | 66分 |
ユーザーレビュー
レビューの投稿はまだありません。
「人魚昇天」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。