葵秘帖 作品情報

あおいひちょう

水戸家に代々伝わる家憲書葵秘帖の秘密を、老中阿部伊勢守が知り、水戸家をつぶそうと計った。秘帖には勤皇の志が記されてあるが、海送問屋水野屋灘右衛門の手に渡り、そのまま行方が判らなかった。唯一の手がかりは将棋図巧という本の中にあるという。水戸方も老中方もそれと関係ある詰将棋図の半片を持っていた。将軍家にある将棋図巧をかけて、双方の代表がお城将棋を指すことになった。浪人峠魚太郎は水戸家に呼ばれ、すべてを話され、秘帖を探すことを頼まれた。彼の友人菅井左近はお城将棋に老中方として出場する。彼は魚太郎に遺書を預けに来た。何かにおびえているふうだ。魚太郎は隣家の女目明しお島らの助力で方々を探り始めた。左近は勝負に勝ち、図巧を持って帰る途中、何者かに襲われ、死んだ。その場所は仏千寺という、近頃如来像を集めているので評判の寺の近くだった。秘帖は如来像の首のところに隠してあるというが、--魚太郎は仏千寺の慈元和尚を見張らせた。左近の遺書からは老中方の持っていた将棋図の半片が出てきた。それと水戸家の半片とを合せて、魚太郎は必死にその謎を解こうとした。彼に助けられた阿片中毒の娘お園が、それを奪おうとした。彼は仏千寺が元水野屋の一党の巣であり、善男善女を阿片で誘惑し、如来像を集めているのを知った。左近の妻浅世も何故かその寺へ通っていた。左近がおびえていたのは“呪いの面”という怪物で、魚太郎はその腕に手裏剣を見舞うことができた。魚太郎は秘帖の謎を解いた。図巧の裏表紙にすかしで江戸地図が描かれてい、それと詰将棋図と重ねたのだ。その頃、仏千寺の連中も謎を解いていた。お園の父の将棋師を連れ去り、阿片で正気を失わせ、手がかりを握ったのだ。魚太郎は仏千寺に乗り込み、慈元や、彼と結ぶ老中の手先戒田らを追いつめるが、しかけで床下へ落ちた。そこへ、浅世が現れ、彼をかきくどく。魚太郎は彼女が“呪いの面”その人であり、水野屋の息女だと知っていた。彼女は父のためと慈元らに阿片であやつられ、左近の妻となり詰将棋図を狙ったのだ。戒田は水野一党の首領慈元を殺すと、浅世をさらって、如来像のありかの、佃島にある廃船「水野屋丸」へ向った。駈けつけた魚太郎との間に撃ち合いが始る。魚太郎が危くなったとき、浅世が戒田の腕に取りすがる。戒田は死んだが、浅世も魚太郎の腕でこと切れた。魚太郎は家憲書を水戸家へ首尾よく渡すことができたのである。

「葵秘帖」の解説

角田喜久雄の『変化如来』より、「千両獅子」の結束信二が脚色、「神変麝香猫」の小沢茂弘が監督、「千両獅子」の伊藤武夫が撮影した時代劇。「千両獅子」の市川右太衛門、東映初出演の新珠三千代、「江戸の花笠」の尾上鯉之助に、花柳小菊、丘さとみ、伏見扇太郎、徳大寺伸、山形勲などが出演する。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督小沢茂弘
原作角田喜久雄
出演市川右太衛門 伏見扇太郎 丘さとみ 徳大寺伸 新珠三千代 花柳小菊 堺駿二 星十郎 尾上鯉之助 山形勲 丘郁夫 沢田清 加賀邦男 進藤英太郎 吉田義夫 阿部九洲男 須藤健 百々木直 団徳麿 山内八郎 水野浩 香川良介 高松錦之助 小田部通麿 有馬宏治 堀正夫 吉田江利子 長田健二
制作国 日本(1958)
上映時間 94分

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最終更新日:2023-02-28 10:45:44

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