P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-06-02
この中平康監督の日活映画「狂った果実」は、「太陽の季節」で芥川賞を受賞した石原慎太郎の、太陽族モノの第2弾。
公開当時、台頭しつつあった戦後世代の倦怠感を見事に切り取り、太陽族映画、即不良映画という烙印を押されながらも興行的には大ヒットした作品で、わずか23日で撮り上げた強行撮影にもかかわらず、カメラ・アングル、編集の巧みさで、印象的な映像を作り上げていると思う。
とにかく、この作品は、日本のある時代の青春の残酷さを鮮烈に描いた、青春映画の傑作であり、主演の石原裕次郎の存在は常に際立っていたし、1950年代後半から1960年代にかけての日本の青春のシンボルは、石原裕次郎であったということを、再認識させる作品でもある。
原作・脚本は、裕次郎の実兄の石原慎太郎で、ブルジョワ学生の残酷さみたいなものが、非常によく出ていたと思う。
感動的な映画であることは疑う余地はないが、この青春像に対しては、ある種の違和感、反発を感じる人もかなりいると思う。