山椒大夫 感想・レビュー 3件

さんしょうだゆう

総合評価4.67点、「山椒大夫」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「実燐」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2025-01-15

冒頭の父が厨子王に言う「人は慈悲の心を失っては人ではない 己を責めても人には情をかけよ 人は等しくこの世に生まれてきたものだ 幸せに隔てがあってよいはずがない」という言葉にハッとさせられる。
安寿が兄を逃がすために入水するシーンの水紋の美しさや、ラストの厨子王と母の再会シーンの海のきらめきは心に残る。
余談。歌舞伎シーンが光る「残菊物語」の花柳章太郎さんの息子である花柳喜章さん(厨子王)はずいぶん似てないなーなんて思いながら見ていたら、養子だとわかった。溝口監督が花柳章太郎さんと大喧嘩して落とし前につけた配役らしい。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-09-09

これ迄の「西鶴一代女」「雨月物語」「祇園囃子」で女性崇拝と人道主義の美徳を知らしめた溝口が、そのテーマをもっと広く普遍的な関心事として捉えて、森鴎外のこの歴史小説を映像化したのではないかと想像します。ここに、溝口健二の映画作家としての良心が完成されたと言えるのではないか。
中世の荘園制度や奴隷制度の背景の描写力は勿論、ラストの母子の再会まで人道主義の信念は見事な古典美を創り出している。このような美しい作品は、より多くの人たちに、そしてすべての若者に観られるべきであると思います。感動のラストシーンは、人の世の罪を見据えた作者の厳しい批判と情愛が悟りの境地で観るものを圧倒します。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2017-11-14

本編の湖のシーンでの大変さを香川京子さんがテレビで喋っていたのを聴いた事が在った…。秋のすすき野のシーンも何とも美しかったー。森鴎外の原作を、絵本等でも有名な其の家族の悲話を、モノクロームの絵巻は重厚な、時に激しい語り口で進めて行く。盲姿の田中絹代との再会のラストシーンも又、秀逸なもの。溝口健二監督の代表作の〈雨月物語〉と共に映画史に残る名篇。

最終更新日:2025-01-25 16:00:02

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