P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2019-09-08
名作「稲妻」と同年の制作で、終戦後の復興を背景に生きていくことにひた向きな市井の人間群像を描く。大衆化されたお涙頂戴の”母もの映画”とは一線を画すホームドラマの秀作と思います。
堅実な母親像を演じる田中絹代と、無垢な清らかさを演じる娘役の香川京子の演技共鳴が見所です。
また、小津、溝口と並ぶ名匠成瀬巳喜男の安定感ある演出力を味わえる貴重な作品。当時の時代背景も複雑に織り込まれていて、今日的な視点で顧みても参考になるのではないか。それは、生きていくという点で。