P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2023-11-09
このシリーズ第3弾の「網走番外地 望郷篇」は、網走帰りの高倉健が、故郷の長崎へ帰って来たことから物語が始まる。
”八人殺しの鬼寅”こと、嵐寛寿郎は、この作品のみ、旭組の親分役で登場している。
田中邦衛や由利徹、砂塚秀夫、”番外地ファミリー”の妙味。
林田マーガレット演じるハーフの生意気さも微笑ましい。
何よりこの「望郷篇」が、シリーズ屈指の傑作とされる最大の要因は、高倉健が悪玉の安部徹らを斬殺した後のシークエンスに集約されている。
「七つの子」を口笛で吹きながら、静寂の中、現われる杉浦直樹。
肺病の殺し屋という特異なキャラクターも、エキセントリックなら、高倉健が「よく逃げねえでいたな」と言うのに対し、杉浦直樹が「飯食っちまったんでな」と交わされる会話も、可笑しみを誘い出す。
そして互いに、長匕首を向けて、一対一で斬り合う一瞬を、再生&停止の連続で見せる、石井輝男監督の映像感性と、演技者の阿吽の呼吸が素晴らしい。