網走番外地(1965) 作品情報
あばしりばんがいち
網走刑務所に二人一組の手錠につながれた新入りの囚人たちがやってきた。そのなかの一組に橘真一と権田権三の二人がいた。貧農の生れの橘は、義父・国造との仲がうまくいかず家をとびだし、やくざの世界に足を踏みいれ、親分のための傷害事件で懲役三年を言い渡されたのだった。一方、権田は前科五犯のしたたかものだ。二人が入れられた雑居房には桑原、依田の古参囚人に混り初老の阿久田がいた。依田は殺人鬼・鬼寅の弟分と称して房内を牛耳っていた。こんな依田に権田は共鳴し、橘はことごとく反抗した。そんなある夜、依田と権田がしめしあわせて橘に襲いかかり、乱闘騒ぎが看守に発見されて三人はそれぞれ懲役房に入れられた。そんなとき、妹の手紙が舞いこみ、橘は母が義父・国造の虐待で病床に倒れたことを知った。橘は国造への怒りを森林伐採の斧にたくして懸命に働いた。そんな橘に、以前は同じみちをたどったことのある保護司・妻木は親身の世話をしてやるのだった。が、そのころ雑居房では依田、桑原、権田の三人を中心に脱獄計画が進められていた。だが決行寸前、阿久田の裏切りで脱獄計画は崩れ去った。殺気だつ房内で阿久田は自分の正体をあかした。以外にも阿久田こそ、殺人鬼として恐れられた鬼寅だったのだ。数日後、山奥に作業に出た囚人たちは、護送トラックから飛び降り脱走を計った。橘も権田に引きずられて路上に叩きつけられた。二人は手錠でつながれたまま雷の中をひた走った。一方、妻木は橘に裏切られた怒りを胸に二人を追った。汽笛を聞いた二人は線路に手錠の鎖をのせ汽車に鎖を切らせた。しかし権田は反動で谷間に落ちた。橘はそんな権田を捨てきれず、追ってきた妻木と共に重傷の権田を助けて病院に犬橇を走らせるのだった。
「網走番外地(1965)」の解説
伊藤一の原作を「顔役(1965)」の石井輝男が脚色、石井輝男が監督したアクション・ドラマ。撮影は「あの雲に歌おう」の山沢義一。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:石井輝男
原作:伊藤一 出演:高倉健 南原宏治 丹波哲郎 安部徹 嵐寛寿郎 田中邦衛 潮健児 滝島孝二 三重街恒二 杉義一 佐藤晟也 ジョージ吉村 関山耕司 菅沼正 北山達也 沢彰謙 風見章子 志摩栄 |
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配給 | 東映 |
制作国 | 日本(1965) |
上映時間 | 92分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、3件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-13
チャンバラ時代劇から任侠映画路線への転換期に生まれた、1960年代の東映プログラム・ピクチャーの記念碑的大ヒット作品で、高倉健が大ブレイクするきっかけとなった作品でもあるのが、石井輝男脚本・監督による「網走番外地」です。
伊東一の原作から、題名と舞台設定を採り入れて、スタンリー・クレイマー監督、トニー・カーティス、シドニー・ポワチエ主演の「手錠のままの脱獄」をインストールしたアクションを描こうとする、奇才・石井輝男監督の試みは、網走刑務所に収監された受刑者の現在と回想シーンで、巧みに起伏をつけながら、クライマックスの大脱走へとストーリーを盛り上げていると思います。
極貧の不幸な家庭環境に育ち、ヤクザの道に入った主人公の橘真一は、暴力的な男の後妻になった母親が、ガンになったと聞き、死ぬ前に一目だけでも会って、これまでの極道を詫びたいとの一心から、仮出所を目前にして、脱獄の企てに乗ってしまいます。