P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-08-08
作家・姫野カオルコが本篇に惚れ込んだ経緯,衝撃を随想の中で語って居るがモノクロームの今村昌平節のダイナミズムは忘れ難い!Filmセンターや名画座等で見た本作
あかいさつい
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作家・姫野カオルコが本篇に惚れ込んだ経緯,衝撃を随想の中で語って居るがモノクロームの今村昌平節のダイナミズムは忘れ難い!Filmセンターや名画座等で見た本作
この「赤い殺意」は、「にっぽん昆虫記」で、土俗的な性のリアリズムを描いた今村昌平監督が、再び挑戦的に”性”を描いた作品だ。
この作品は、今村昌平監督の作品の中でも、非常にユニークな傑作で、暴行された女性が、被害者である事を逆手にとって、その立場を加害者と逆転していくという、新しい視点になっている。
封建的な、家中心の思想の強い東北地方を舞台に、古い因習の重圧に苦しむ、小心な女性が、ある事件を契機に、強い女性へと変貌していく様を、リアルに描いた、今村昌平監督の真骨頂とも言うべき作品だ。
”日本の女性はどんな目にあっても凄いぞ”という日本の母系家族が一つのモチーフとなっていて、地味な題材を暗くせずに、女性の深奥に隠れているバイタリティや生命力の噴出を描いて、今村節が冴え渡る重喜劇の傑作だと思う。