野獣都市 作品情報

やじゅうとし

工学部の学生、有間靖治は鉄砲店でアルバイトをしていたが、石浜雄作に運転と銃の腕前を見込まれて、彼と契約した。石浜は戦争中の麻薬で成功し、今はいっぱしの実業家となっていたが、昔の同僚、岩野からその時の麻薬取引の書類をタテに脅迫されていた。石浜と有間は人気のない埋立地で、岩野との引渡しをすませるが、岩野の罠に逆上した有間は、抜き撃ちに岩野と銃口を向けた二人の男を殺した。数日後、石浜を訪れた岩野の娘、みゆきを尾行した有間は彼が殺した花谷組の幹部に暴行をうけた。有間が傷つきながら石浜邸にたどりついた時、石浜の工場爆発の報が入った。ピンチに立った石浜は親会社の市原社長に力添えをたのみ、市原も息子の信之と石浜の娘、美津子の結婚が間近だったため援助を快く引きうけた。だが、その頃美津子は有間とモーテルで一夜をともにしていた。石浜は美津子からが株で大儲けしたのを聞き、信之を人質に市原をゆするが、立場は一転し、人質となったのは石浜自身だった。逆上した有間は花谷を人質に、石浜との交換を要求したが、石浜は廃人同様の姿で送り帰さてれてきた。復讐の鬼と化した有間は信之の口から真の黒幕が財界の大物・金森だと知ると、市原もろとも弾丸を見舞った。

「野獣都市」の解説

シリアス・タッチのハードボイルド・アクション。大藪春彦の原作をもとに「でんきくらげ」の石松愛弘が脚本を執筆、監督は「コント55号 宇宙大冒険」の福田純。撮影も同作の逢沢譲が担当。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1970年5月23日
キャスト 監督福田純
原作大藪春彦
出演黒沢年男 三國連太郎 高橋紀子 岡田可愛 清水将夫 伊藤孝雄 小松方正 北龍二 大滝秀治 青木義朗 草野大悟 小松英三郎 石橋雅史 渡辺高光 原田力 下絛正巳 渥美國泰 清水元 向井淳一郎 須田準之助 菅井きん 武内悦子 桂木美加 若山真樹 乱孝寿 岩本弘司 菊地英一 鈴木和夫
配給 東宝
制作国 日本(1970)
上映時間 88分

ユーザーレビュー

総合評価:4点★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2023-12-14

1960年代末から数年間、優れた活劇映画を生んだ”東宝ニューアクション”の隠れた傑作が、この大藪春彦原作の映画化「野獣都市」だ。

工学部の大学生の有間は、銃砲店でアルバイト中に偶然、製薬会社社長の石浜を恐喝した男を殺してしまうが、石浜から銃器と車の腕前を買われてボディガードを務めることになる-------。

大藪春彦の原作と異なり、2人の主人公の父子にも似た関係が印象的だ。重厚かつ不気味な存在感の名優・三國連太郎と破滅に向かって突き進む黒沢年男の温度差の対比が、実にいい。

リンチを受け廃人になった三國は、黒沢ならずとも驚愕の衝撃映像だ。
また、三國の娘役の高橋紀子の小悪魔ぶりもキュートだ。

ゴミ埋立地を舞台にした決闘シーンや暗闇でのクライマックスなど、職人監督・福田純のシャープなハードボイルド演出が光っている。

そして、音楽の佐藤勝は「アクション映画ではこれがベスト」だと語っており、ブルーベル・シンガーズの主題歌「疎外者の子守唄」もひりひりと身にしみる。

最終更新日:2023-12-24 16:00:01

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