P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2024-06-03
この映画の舞台は新宿西口。時間は土曜日の午後から月曜日の朝まで。
ここを根城にする不良少女グループが、暴力団の絡んだボクシングの八百長試合に巻き込まれ、恋人の和田浩治を殺された、リーダーの梶芽衣子は、オートバイにまたがって、この街に流れて来た和田アキ子の力を借り、復讐のために暴力団に挑む事になる。
全篇新宿でのオールロケの映像は、登場するずべ公たちが役者である事を忘れさせる。
ストリートの感覚を初めて映画に持ち込んだ、オリジナリティ溢れるキャラクターは、それまでの日本映画にはなかったものだ。
女侠客でも女賭博師でもない、日本映画に初めて登場したヒロインたち。
とりわけ、実際に三宮でグレていたという和田アキ子が役柄にぴたりと嵌っている。
そして、ファッションや風俗に、1970年代の空気が、見事に切り取られていると思う。
暴力団に使われている藤竜也率いる暴走族が、バイクで逃げる和田アキ子と梶芽衣子を追って、新宿の街で、壮絶なカーチェイスが展開される。 バイクが、そして藤竜也の駆るダイハツ・フェローバギーが、新宿西口広場の通路を抜け、階段を上がり、歩道橋まで駆ける。 空前絶後のゲリラ撮影が生むユーモアと迫力。 ケレン味とドキュメンタリー感覚をミックスさせた長谷部安春監督の演出は軽快だ。 そして、オックス、オリーブ、モッブス、アンドレ・カンドレ(井上陽水)らの歌唱シーンも、貴重な時代の記録になっていると思う。