女番長 野良猫ロック 作品情報

おんなばんちょうのらねころっく

土曜日の新宿の街は爆発する若者のエネルギーでムンムンしていた。西口の工場現場では若い女達の二つのグループ、十数名が鋭く対立していた。番長・メイが乗り込むや、他方の番長・トシエの合図でナイフとパンチの凄惨な乱闘がくり広げられた。バギーを運転する勝也をボスにする黒シャツ隊がトシエ達に加勢してきた。それを見守っていた流れ者・アコはオートバイに跨り、敵を蹴散らしてメイ達を助け出した。アジトに逃げ帰ったメイ達は、アコに畏敬の念をいだき始めた。一方、アジトにたむろするメイの恋人、道男は黒シャツ隊の元締めである青勇会に取り入り、幼なじみのボクサー・ケリーを抱き込んでボクシングの八百長を引き受け、青勇会の会員にしてもらおうとしていた。その夜の試合で負けを強いられていたケリーは得意のパンチを出せず、KO寸前だった。しかし、アコやメイの強烈な声援に奮起し、八百長を忘れ、相手をKOしてしまった。道男に八百長をひっくり返された青勇会は怒り狂い、道男に落とし前をつけた。恋人を殺されそうになったメイは、アコの協力で青勇会に殴り込み、ひん死の道男を救い出す。だが、怒りに燃えた青勇会に道男は殺されてしまう。そして、その仇を討ったメイも、ショットガンの弾丸を浴びて死んだ。月曜日の朝、アコは爆音を残して新宿の街から去って行った。

「女番長 野良猫ロック」の解説

疎外された若者たちのエネルギーの爆発を、描いた作品。脚本は「斬り込み(1970)」の永原秀一、「盛り場仁義」のテクニシャン長谷部安春が監督。撮影は同作品でコンビを組んだ上田宗男が担当。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1970年5月2日
キャスト 監督長谷部安春
出演和田アキ子 梶芽衣子 和田浩治 范文雀 久万里由香 十勝花子 島津ゆう子 大橋由香 柳美樹 島敏光 富田ジョージ ケン・サンダース 中丸忠雄 睦五郎 藤竜也 小磯マリ
配給 日活
制作国 日本(1970)
上映時間 80分

動画配信で映画を観よう! [PR]

ユーザーレビュー

総合評価:3点★★★☆☆、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2024-06-03

この映画の舞台は新宿西口。時間は土曜日の午後から月曜日の朝まで。
ここを根城にする不良少女グループが、暴力団の絡んだボクシングの八百長試合に巻き込まれ、恋人の和田浩治を殺された、リーダーの梶芽衣子は、オートバイにまたがって、この街に流れて来た和田アキ子の力を借り、復讐のために暴力団に挑む事になる。

全篇新宿でのオールロケの映像は、登場するずべ公たちが役者である事を忘れさせる。
ストリートの感覚を初めて映画に持ち込んだ、オリジナリティ溢れるキャラクターは、それまでの日本映画にはなかったものだ。

女侠客でも女賭博師でもない、日本映画に初めて登場したヒロインたち。
とりわけ、実際に三宮でグレていたという和田アキ子が役柄にぴたりと嵌っている。
そして、ファッションや風俗に、1970年代の空気が、見事に切り取られていると思う。

暴力団に使われている藤竜也率いる暴走族が、バイクで逃げる和田アキ子と梶芽衣子を追って、新宿の街で、壮絶なカーチェイスが展開される。 バイクが、そして藤竜也の駆るダイハツ・フェローバギーが、新宿西口広場の通路を抜け、階段を上がり、歩道橋まで駆ける。 空前絶後のゲリラ撮影が生むユーモアと迫力。 ケレン味とドキュメンタリー感覚をミックスさせた長谷部安春監督の演出は軽快だ。 そして、オックス、オリーブ、モッブス、アンドレ・カンドレ(井上陽水)らの歌唱シーンも、貴重な時代の記録になっていると思う。

最終更新日:2024-09-04 02:00:04

広告を非表示にするには