茗荷村見聞記 作品情報
みょうがむらけんぶんき
四十年余を精神薄弱児教育ひとすじに生きてきた田村一二が、心身障害者たちとごく普通の人々がそれぞれ自分に通した仕事をしているユートピア“茗荷村”を訪れた。村長の用意した馬車で早速、村をまわる。馭者の音吉はチエ遅れだそうだがとても元気で明るい。重度の精神薄弱児たちと共に焼き物屋をやっている江木の店に寄って、村で作った添加物ぬきの食品を出す居酒屋“ぼけ屋”で昼食、午後も数カ所を一巡して“織りもの屋”を訪れた田村は、そこで若い頃一緒に精神薄弱児の指導をしていた桧原先生に思いがけない再会。夜“霧の家”という宿に泊まる。そこで、チエ遅れの女の子が三人、女中として働いている。そして、その宿の女主人、露木さんは、四十年前、生徒だった自閉症の宗雄の母親だった。宗雄はその後、ガンで亡くなったそうだ。宿でのおいしい麦ごはんの食事のあと、村の喫茶店“麦”に出かけた。ここの女主人花田も、昔、田村と一緒に“一麦寮”で精神薄弱児のめんどうを見ていた。翌日は村長に代って、研究所の先生、春木が案内をした。農薬を使用しない野菜の漬物屋、それから、発電所に老人ホーム、劇場などの文化施設をまわる。その夜、研究所の所長、花竹の家で、“ガンジーの娘”と名のる桃江と会う。終戦直後、世話をした浮浪児、常吉の娘だ。常吉は田村に読まされた「ガンジー自叙伝」でたちなおり、チエ遅れの花江と結婚して、桃江を生んだ。桃江によると、その後常吉はガンで死に、花江はチエ遅れながらも、桃江を一人で育て、成人式には晴着までそろえてくれたという。“私にとってカアちゃんは日本一の母でした。チエ遅れだって、どんな母親にも敗けない”と。こうして数々の心のふれあいを得た田村は、村長以下素朴な村民たちの姿をしっかり胸に刻んで、名残り惜しんで茗荷村をあとにした。
「茗荷村見聞記」の解説
公害もなく、人間関係の不調和も偏見もない村、ごく普通の老若男女と心身障害者たちが、一緒になってそれぞれに適した仕事について、その日、その日を明るく生きる、ユートビア“茗荷村”の生活を描く。四十年余の長い歳月を精神薄弱児教育ひとすじに歩んできた田村一二の同名の原作の映画化で、脚本、監督は「春男の翔んだ空」の山田典吾、撮影は「星空のマリオネット」の奥村祐治がそれぞれ担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1979年4月28日 |
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キャスト |
監督:山田典吾
原作:田村一二 出演:長門裕之 山本圭 岡田裕介 渡辺篤史 殿山泰司 吉田日出子 二木てるみ 雪代敬子 林美智子 中島ゆたか 谷口香 塩沢とき ケーシー高峰 横山あきお 大泉滉 三遊亭円之助 江戸家猫八 信欣三 桑山正一 左右田一平 矢野宣 梅津栄 椎名泰之 阿部百合子 山田有 相生千恵子 牧よし子 川上夏代 |
配給 | 東映=東映セントラルフィルム |
制作国 | 日本(1979) |
上映時間 | 112分 |
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