博多っ子純情 感想・レビュー 1件

はかたっこじゅんじょう

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P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2025-04-17

この映画「博多っ子純情」は、長谷川法世が「週刊漫画アクション」に連載していた人気漫画の映画化ですが、異才・曾根中生監督の歯切れよく、気風よく弾ける演出が素晴らしい作品だ。

性に目覚め、いまだ見も知らぬ女性の神秘に興味を抱く、男子中学生3人組が、憧れの女性とのデートを夢見たり、不良に囲まれた同級生をカッコ良く助けようと意気がったりする様を、コミカルに誇張を込めて描いた痛快作だ。

この映画は、威勢はいいが、どこかとぼけている博多弁のセリフが作品の基調をなし、今や日本映画界の名バイプレイヤーのひとりになった、若き日の光石研扮する郷六平をはじめとする中学二年の男子中学生3人組が、生まれて初めて山笠を担いで男をあげたり、初恋のお姉さんに悶々としたり、クラスメートの女の子(松本ちえこ)にキスをせがまれたり、夜道で高校生に絡まれて喧嘩したり-----といった印象深いエピソードがきびきびと展開していく。

そして、何といってもこの映画の白眉は、六平の正義感を発端として三人組が、別の中学の大勢の生徒と決闘するはめになり、三人組に加勢する番長の一団と福岡城址で大乱闘になる終盤だ。
これが、六平の失禁しながらの機転で、無血の解決をみることになるんですね。

この決闘シーンは、鈴木清順監督の「けんかえれじい」を彷彿とさせ、勢いと余韻に満ちたユニークな戯作タッチを全篇に行き渡らせた「博多っ子純情」は、曾根中生監督の登場人物たちに注ぐ愛情が素晴らしく、彼の演出の頂点をなすものだと思いますね。

最終更新日:2025-04-27 16:00:01

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