やくざ戦争 日本の首領 感想・レビュー 2件

やくざせんそうにほんのどん

総合評価5点、「やくざ戦争 日本の首領」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-12

そして、日本最大の暴力団の首領(ドン)とは一体いかなる存在なのか?

「やくざ戦争 日本の首領」が、実録路線の上に乗った企画でありながら、いささか趣きの異なる作品となったのは、そのテーマがやくざ同士の抗争ではなかったという点だと思います。

"首領(ドン)"の存在とは、やくざ社会の中においていかなるものなのか、それは政治や経済との関わり合いも含める、その"カリスマ性"に焦点が当てられたのだと思います。

戦後の混乱期、そして保守政治勢力の確立期、権力は暴力団をも利用し、その関係はその後も尾を引き、互いに持ちつ持たれつのくされ縁がしばらく続いたと思います。
だが、権力の強化、更に権力による管理化が進むにつれ、暴力団はお荷物になり、むしろ危険な存在となっていったのです。

そして、権力は暴力団を突き離し、その時からやくざは、単なる暴力団となっていったのです。
社会の公共の敵、憎むべき存在。そのキャンペーンの中で、しかし依然として組織は保たれていて、その中核に"首領(ドン)"がいたのです。

西日本最大の"首領(ドン)"=佐倉一誠(名優・佐分利信)の、中島組組長として、全国制覇を胸に秘めた野望と、"政界・財界・右翼界"に、幅広い人脈を誇る政治的コネクション、そして、家庭では2人の娘の幸福を願う父親としての苦悩。 「仁義なき戦い」で一躍、人気作家となった飯干晃一の原作による、山口組内部の確執や実在の人物をモデルとしながらも、脚本の高田宏治は多彩な人間関係が絡む虚構性に富んだドラマを紡ぎ出し、実に見事な脚本になっていると思います。 まさに、彼しかこの役は考えられない程のハマリ役である、重厚で深みのある存在感を体現する佐分利信をメイン・キャストに、かつての任侠映画のスター、鶴田浩二に、菅原文太、千葉真一、松方弘樹らの現役やくざ俳優の熱情が、「日本版ゴッドファーザー」に東映の息吹きを伝えていたと思います。 そして、この映画はシリーズ化され、「日本の首領 野望篇」「日本の首領 完結篇」へと続いていくのです。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-12

"東映オールスター・キャストで日本最大の暴力団の首領のカリスマ性に焦点を当てて描いた超大作 「やくざ戦争 日本の首領」"

この映画「やくざ戦争 日本の首領」は、1970年代後半における、東映のエポック・メイキングとなった、オールスター・キャストによる超大作です。

この映画は、いわゆる"東映実録路線"に沿った企画でしたが、中島貞夫監督は、「任侠映画でもないし、実録映画でもない、少し骨太の大人の芝居がやりたかった」と、その製作意図として語っているように、音楽に日本を代表する音楽家の黛敏郎を起用した、圧倒的なスケール感や、超豪華キャストを揃えた、上映時間2時間12分にも及ぶ、"映画としての独立"は、興業的にも大ヒットを飛ばすという最高の形で、東映ヤクザ映画のその後の方向性に一つの結論を示唆したものになったと思います。

この映画は、実在する日本最大の暴力団の首領(ドン)、それを題材に採り上げていますが、実録路線の作品の数々は、そのほとんどが、この日本最大の暴力団の動向と何らかの関わりを持っていて、極論を言えば、その動向が実録路線の素材を提供していたとも言えます。

最終更新日:2024-06-22 16:00:01

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