P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2023-12-16
この藤本義一原作、渡邊祐介監督、原田芳雄主演の「やさぐれ刑事」は、主人公の原田芳雄扮する刑事が、自分が狙っていた暴力団幹部に妻を寝取られ、コールガールに売りとばされて怒り狂い、警察官としての職務も規律もなげうって復讐の鬼と化してしまう。
そしてダーティな追跡劇を、北海道から九州までと大がかりに繰り広げるさまを描いた、ハードボイルド刑事アクション映画なのです。
藤本義一の原作小説のハードボイルド色を極力抑えて、活劇としての面白みを強調していると思う。
職務に忠実なあまり、家庭からはみ出し、さらに、妻を奪われてからというもの警察機構からもはみ出した”男の屈折したエネルギー”を、原田芳雄が実に好演して見せているが、映画としてはリアリティの欠如が目立ち、いささか説得力が乏しかったような気がする。
しかし、日本の伝統である任侠映画のパターンに、アメリカ映画の「ダーティハリー」シリーズに代表される豪快なアクションを織り混ぜて、それまでの刑事ものとは一味違った、”アクション娯楽活劇”に仕上げた渡邊祐介監督の演出の手腕は、なかなか冴えていたと思う。