ハムレット(1947) 作品情報
はむれっと
十三世紀のころ、デンマークの王ハムレットは、庭園に眠っていて毒へびにかまれて亡くなった。王位は弟クローディアスが継ぎ、幾ばくもなくして前王妃ガートルードが新王と結婚した。前王の一子ハムレットはすでに成人しており、本来ならば王位に即くべきであろうが、新王にはばかってか、王位にはふさわしくないと思われていた。王子ハムレットは、あれほど父に愛されていたにもかかわらず、母が義弟と再婚してからは、一人憂愁に閉ざされ、狂気じみた言行がある程である。重臣ポローニアスの娘オフィーリアに、王子が言寄っても彼女はその愛の言葉が本心やら戯れ言やら分らない。折しもハムレットの親友ホレイショーがウイテンベルグから帰って来たが、彼の言葉でハムレットは父王の亡霊が、エルシノア城の前の高台に現れると知り一夜亡霊と会って父は弟の為に毒殺されたこと必ず復しゅうをとげろと告げられる。かねての疑がいよいよ真実と知ったハムレットは復しゅうを決意するが証拠がない。そこで訪れた旅役者に「ゴンザゴ殺し」を演じさせると、王は見るに堪えず中止を命ずる。そしてポローニアスにハムレットの本心を探らせると、ハムレットは間謀と思ってカーテン越しに刺殺す。父を殺されたオフィーリアは悲しみの余り発狂した。ハムレットは王の命令でイギリスへ使者に赴いたが、王の奸計を知って引返すと、恋人オフィーリアは川でおぼれて死んでいた。父と妹を殺したのはハムレットと告げられて、ポローニアスの一子レアティーズは王に願ってハムレットと御前試合を許される。クローディアスはレアティーズの剣尖に毒を塗り、さらに毒盃を用意する。レアティーズはハムレットと会って真実を知ると、試合をやめたいと思ったが、それもならず剣を交える。ハムレットは毒剣でかすり傷を負うが、そうとは知らずレアティーズの剣を奪って深傷を負わせる。レアティーズはクローディアス王の奸計を告白して絶命する。ガートルード王妃は息子を死なせる罪を恐れて自ら毒盃を仰ぐ。ハムレットは一剣クローディアスを刺して復しゅうを遂げ、王位はノルウェー王子フォーティンブラスに譲るとホレイショーに後事を託して空しく息絶える。
「ハムレット(1947)」の解説
「ヘンリー五世(1945)」に次いでローレンス・オリヴィエが製作・監督・主演したシェイクスピア劇映画で、フィリッポ・デル・ジュウディテェが製作指揮に任じた一九四七年作品。装置と衣装は「ヘンリー五世(1945)」の衣装デザイナーのロジャー・ファースがカーメン・ディランの協力を得て担当し、撮影は「ハングリー・ヒル」のデスモンド・ディキンソン、音楽は「ヘンリー五世(1945)」と同じくウィリアム・ウォルトンが作曲し、演奏はフィルハーモニア・オーケストラである。台本編修も同様アラン・デントが受持っている。オリヴィエのハムレットを囲って「大いなる遺産」のジーン・シモンズ。シェイクスピア劇俳優のベイジル・シドニー及びノーマン・ウーランド、「双頭の鷲」の舞台に出演したアイリーン・ハーリー、「ミスター人類」の舞台にオリヴィエを助演したテレンス・モーガン、「ヘンリー五世(1945)」のフェリックス・エイルマー、ジョン・ローリー、エズモンド・ナイト及びハーコート・ウィリアムス、「逢びき」のスタンリー・ホロウェイ、その他ピーター・カッシング、アンソニー・クェイル、ラッセル・ソーンダイッ等が出演する。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:ローレンス・オリヴィエ
出演:ローレンス・オリヴィエ ベイジル・シドニー アイリーン・ハーリー ノーマン・ウーランド ジーン・シモンズ フェリックス・エイルマー テレンス・モーガン ピーター・カッシング スタンリー・ホロウェイ ラッセル・ソーンダイッ ジョン・ローリー エズモンド・ナイト アンソニー・クェイル ナイアル・マクギニス ハーコート・ウィリアムス パトリック・トラフトン トニー・ターヴァー |
---|---|
制作国 | イギリス(1947) |
上映時間 | 155分 |
動画配信で映画を観よう! [PR]
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-09-26
この映画「ハムレット」は、イギリスを代表するシェイクスピア役者の名優ローレンス・オリヴィエが、製作・監督・主演をし、自身アカデミー主演男優賞も受賞したハムレット映画の決定版だ。
そして、このウィリアム・シェイクスピアの代表的な舞台劇の映画化にあたり、当時、彼が主催する名門オールド・ヴィク座から多数の舞台役者を招聘し、重厚で見応えのある作品に仕上げていると思う。
暗い画面の中に渦巻く霧が割れて、遥か下方に、陰鬱そのものの様なエルノシア城の望楼が、黒々と浮かび上がってくる。
これが、この映画「ハムレット」の全てを象徴しているように思う。
デンマークの王子ハムレットは、亡き父王の亡霊に出会い、父が暗殺されたことを知り、殺害者で、現国王のクローディアスに復讐を誓う。
そのため、ハムレットは狂気を装うが、誤ってオフィーリアの父ポローニアを殺してしまう。
そして、旅芸人一座に暗殺劇を上演させて、クローディアスの犯罪を突き止めたハムレットは、クローディアスに唆されたレアティーズと試合をするが------。