濁流(1947) 作品情報
だくりゅう
ピレネー嵐が吹き荒れるスペインとフランス国境のバスク地方。国境を流れる川の真中の小島にローランという四十男の独身者が住んでいた。ある夜ローランは街の酒場でピアノをひいていたルーヴェンヌという女が過労で倒れたので、介抱するため彼の家に連れて来た。そして一月ほど経つ内に彼の憐みの心は次第に愛情に変っていった。村の者はこの素姓の知れぬけばけばしく化粧した女を憎悪し、ローランの女中ペプタも彼女とけんかして出ていってしまった。ルーヴェンヌも都会から来たさびしさと連日の平凡な生活のため、町へ逃げようとするが折からの暴風のため、河ははん濫し対岸へ渡れない上に激しい激痛を起して寝込んでしまう。夜になると激痛はなお更激しくなったが、医者も呼ぶことが出来ず困っていると、ジェゴという思想犯で脱獄して来た外科医が彼の家に逃げ込んだのを幸に、ルーヴェンヌが急性盲腹炎であることを知り、ローラン立会の下に手術をする。健康を回復した彼女は年とったローランよりも若いジェゴに心を引かれ、ジェゴもまた彼女の肉感的な魅力に誘発され愛情が湧出して来る。雨が上って川はようやく減水し始めたころ、ルーヴェンヌを慕っている知的障害者のパスカルをあざむいて、彼女はジェゴと駆落ちしようとするがローランにこのことが口伝され、彼は嫉妬に狂いジェゴに暴力の手をむけ、彼と格闘している時、スペインの警官がジェゴ捕縛のためにこの島にやって来た。ローランは恋のうらみも忘れてうまくジェゴを匿くまった。ローランは格闘の際うけた傷の手当のためスペイン側に渡った留守にルーヴェンヌはジェゴに駆落ちの決行をせまったが、恩義を感じているジェゴはそれを拒み、彼女を残して単身、島を離れていく。人の好いローランはジェゴとルーヴェンヌの情事を許したが、ルーヴェンヌはジェゴを忘れられず、また吹きまくる嵐の中を彼を追って島を離れていった。
「濁流(1947)」の解説
「南方飛行」「我等の仲間」のシャルル・ヴァネル、「偽れる装い」「女ざかり」のジャン・シュヴリエと、新人女優エレナ・ボッシが主演するフランス・シルヴラ・フィルム。脚本・監督はわが邦にルネ・クレエルの「巴里の屋根の下」にルイの役で紹介されたエドモン・T・グレヴィルで、初めは時計会社などの広告宣伝映画を製作していたが、後にオーガスト・ジェニナやジャック・ド・バロンセリーの助監督をし、その後監督に昇進した。わが邦で封切られた彼の作品には「タムタム姫」Princess Tom-Tom(1935)、「或る映画監督の一生」Le Marchand d'Amour(1935)などがある。撮影は「美女と野獣」「海の牙」のアンリ・アルカン。音楽は「海の牙」のイヴ・ボードリエが作曲し、装置はジャン・ドワリヌーが担当した。助演者にはマルゴ・リオン、マイクなどがいる。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:エドモン・T・グレヴィル
出演:シャルル・ヴァネル エレナ・ボッシ ジャン・シュヴリエ マルゴ・リオン マイク |
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制作国 | フランス(1947) |
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