P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-12
このマルセル・カルネ監督の「天井桟敷の人々」は、第1部「犯罪大通り」と第2部「白い男」で構成されていて、壮大な愛憎絵巻を展開して見せる作品だ。
ドイツ占領下のフランスで、3年カ月の歳月をかけ、豪華なセットや衣装、最高の俳優によって、この芸術作品を完成させた、マルセル・カルネ監督のレジスタンス魂は、今観ても、強く心を打つものがある。
マルセル・カルネ監督は、このドラマを民衆の燃え上がるような
狂気の中に、描き上げていったと思う。
恋とは何か?人間のたとえようもない命のほとばしり。
特に凄いのはラストだ。
去って行く女を追って、青年が走る。
彼を押し包むようにして、民衆が踊り狂う。
この民衆のエネルギーこそ、フランス人のエネルギーの表明であったのだろう。
それはそのまま、ナチスに対して、決して屈服することのない、フランス人魂の表明だったのだ。
そして、三大スターの素晴らしい名演技。
犯罪通りのセットも敬服に値する。