P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-08
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
やがて、連合軍の爆撃が始まり、バッキーはその混乱に乗じて、念願の脱走を図ろうとしますが、一方のブルックスはルーシーの安否が心配で脱走どころではないという心境でした。
そして、園長の命令で象のルーシーをオーストリアへ運ぶ事になり、ブルックスの130キロに及ぶ、アルプスを越えてのスリルに満ちた、ルーシーを連れての脱走劇が始まるのです。
この映画の主演は「明日に賭ける」でもマイケル・ウィナー監督とコンビを組んだ「三銃士」のオリバー・リードで、共演は「俺たちに明日はない」で見せたオトボケ演技が印象に残っているクセ者俳優のマイケル・J・ポラード。
この二人の対照的な個性のぶつかり合いが、この映画の魅力の大きな要素になっていると思います。
また、この映画の音楽を担当したのが、私の一番好きな映画音楽家のフランシス・レイで、この映画でもダイナミックな中にも、彼独特の哀愁を帯びた繊細なタッチのリリカルなメロディーを提供していて、彼の音楽を聴くだけでも、この映画を観る価値があるくらいです。
戦場にいるのは、ただ運命に強制されているだけで、現時点での本当の生き甲斐は、1頭のインド象のルーシーを救い出す事だけにある、という心優しい男ブルックス。 彼と対照的なのが、バッキー。彼が戦うのは国とか家族とかのためではなく、戦う事そのものに生き甲斐を感じるという男。 マイケル・ウィナー監督の、英雄ではなく、特異な状況に置かれた人間を描くという意図が、この二人の人間像によく表れていると思います。