P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-23
この映画「野いちご」は、1958年度ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作で、ひとりの老人がたどる、幻想的な旅を描いたこの作品は、自分の死を暗示する夢にうなされる主人公を通して、"死"に取り憑かれた男の絶望と不安を描き出してみせる。
過去と現在が交錯し、母への回想、裏切った妻への愛と憎しみ、そして生と死への恐怖が、力強い映像で語られる、イングマール・ベルイマン監督の映画史に残る秀作だ。
不気味な老人の妄想と対照的な、息をのむ自然の景観の美しさが、神の国ではない、この地上にこそ"永遠の生命"が躍動していることを暗示している。
タイトルの「野いちご」には、そんな意味も託されているのだ。