モンプチ わたしの可愛い人 作品情報
もんぷちわたしのかわいいひと
パリでの話です--と、ヘルムート・コイトナーは話し出す、こんな恋の話を。--ハンガリーの画学生の青年(ホルスト・ブッフホルツ)は、リュクサンブール公園のベンチで、ピンクのワンピースのパリジェンヌ、アンクレール(ロミー・シュナイダー)に会った。うちとけた二人は、またこのベンチで会うことを約束した。この日、青年は挿絵が売れてお金が入り、次の日は新調の背広で出かけてくる。しかし、娘はこなかった。彼は豪華なレストランにとび込んで散財する。ブルジョアの男(ボイ・ゴバート)と女(M・レーン)がもの憂気に食事している。お金を使ってしまった彼は飢えに襲われた。下宿の廊下では黒人女ザザがブルースを歌っている。そしてある風の強い日、彼はとうとうベンチで彼女に会った。雷鳴と雨。喫茶店で彼女は彼をモンプチと呼んで、接吻した。ブルジョア男女の放埒な恋も、近くのバアで進行する。しかし、たびたび会ううちに、彼はもう接吻だけでは満足しなくなった。そのことで喧嘩別れした彼はアヒルを買ってナポレオンと名をつけ、淋しさをまぎらせた。けれど、又二人は街でばったり会い、彼は彼女を下宿によぶ。彼女だって貧しい孤児のお針子だった。だが彼女は立派な家に家族達と住む風を装っていた。秘かに、彼女が安アパートに一人で住むのを知った彼は怒った。翌朝、結婚を決心して荷物をもち、引越してきた彼女を、彼は部屋に入れなかった。そして、夕方約束の場所で待つ彼女の頬を、彼の手が打った。彼を追って走る彼女は、ブルジョア女の車にひかれ、病院に入った。今は真実の愛を知った彼は、彼女を見舞う。しかし、翌る朝きたとき、彼女はもう生きてはいなかった。ブルジョアの男女は、相変らず、ものぐさな恋を続けている。--本当に、理想は抒情的で、運命は悲劇的で、現実は喜劇的だ。--語り終えて、コイトナーは、ゆっくり、キャフェのテラスの椅子から立ちあがった。
「モンプチ わたしの可愛い人」の解説
「最後の橋」のヘルムート・コイトナー監督が、パリ・ロケーションをとりいれて作りあげた、小味で、一寸皮肉な恋物語。ハンガリー生れの小説家ガボール・フォン・ヴァサリーが一九三四年に書いた原作を、監督のコイトナー自身がシナリオ化し、ハインツ・ペールケが撮影を担当した。音楽はベルンハルト・アイヒホルン。原題の「モンプチ」は、フランス語のスペルを縮めて、一語にした新語である。コイトナー自身がプロローグとエピローグに登場して、観客に話しかけるほか、ナレーションも受けもっている。主演するのは「制服の処女(1958)」のロミー・シュナイダーと、ジュリアン・デュヴィヴィエに見出された二三歳の新人ホルスト・ブッフホルツ。この二人の主人公に対応して出てくるブルジョアのカップルにメラ・レーンとボイ・ゴバートが扮し、他に黒人女優オリーヴ・ムーアフィールド、ブム・クリューガー、イスガ・ゲリ、ホビー・トッド、ヨゼフ・オッフェンバッハ等が出演する。製作ゲオルク・リヒター。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:ヘルムート・コイトナー
原作:ガボール・フォン・ヴァサリー 出演:ロミー・シュナイダー ホルスト・ブッフホルツ メラ・レーン ボイ・ゴバート オリーヴ・ムーアフィールド ブム・クリューガー イスガ・ゲリ ホビー・トッド ヨゼフ・オッフェンバッハ ナポレオン ヘルムート・コイトナー |
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配給 | NCC=ユニオン |
制作国 | 西ドイツ(1957) |
上映時間 | 96分 |
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