P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-21
この映画「落ちた偶像」は、キャロル・リード監督の「第三の男」と並ぶ、最高作とも言えるサスペンス映画の秀作だ。
グレアム・グリーンの小説の映画化作品で、少年の目から見た、大人の世界の偽善性が描かれ、憧れの英雄を殺人犯だと思い込み、幻滅していく心理描写の変化が、克明に綴られていく。
大使館内を主な舞台にしているが、小道具を巧みに使い、構図の取り方で心理的なサスペンスを高めていく手法は、実に見事だ。
戦後の荒廃が色濃く残る社会状況と、不安定な人間関係が、物語の背後に見え隠れしている。