P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-13
非常に苦い洞察のこもった、青春に関する人間映画の秀作だ。
16歳のフランスの田舎の青年ルシアン。
彼は第二次世界大戦の中、レジスタンスとなって山へこもることを夢見ながら、実は全く逆に、ゲシュタポの手先となって同胞へケチな権力を行使し続ける。
町にひそんだユダヤ人の美少女をモノにするも、そのヤリ口は野暮で尊大。
彼女の父や祖母に、大いにコワモテがられるが、それをいいことにつけあがるルシアンの青春。
そんなルシアンが、一転、本気で彼女をナチから守る気になり、朝靄の降り注ぐ中、彼女との牧神の午後のような幸福を味わったのも、実は束の間という、その終末を描くルイ・マル監督の視線には、まさに真実への抑制された涙があって、実にいいですね。