愛すれど哀しく 感想・レビュー 2件

あいすれどかなしく

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P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-03

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

原作は、フランスの貧民作家シャルル・ルイ・フィリップの「モンパルナスのビュビュ」で、むろん小説の舞台はパリだが、映画はこれをイタリアのミラノの下町にロケしながら、ロートレックの画調を思わせる、その不思議な美しさがある。

まだ、あどけなさを残すヒロインが、疲れて荒んで、いっぱしの娼婦に成り果てていく姿が痛ましいが、そんな彼女は、田舎出の純朴な青年ピエロ(マッシモ・ライエリ)に恋される。
だが貧しく無力なピエロには、ベルタを救うことができない。

姉の発狂、父の窮死、幼い弟妹たち。どうしようもない、この貧しさ。
だが、貧しさをもたらす社会の仕組みに気付きさえしない女の哀れ。

彼女を見殺しにした男への悔恨を込めて、けれど、あまりにも慎ましく優しい女心が、郷愁をうずかせる佳作だと思います。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-03

”古風な女の哀れを、イタリアの叙情派マウロ・ボロニーニ監督が心を込めて描いた「愛すれど哀しく」”

可憐な洗濯女ベルタ(オッタヴィア・ピッコロ)は、パン屋の職人ブブ(アントニオ・ファルジ)を愛したばかりに、夜の女に転落する。

彼はヤクザ気取りの無知な若者だった。
今やヒモとなり、稼ぎが悪いと殴りつけもするのに、彼女は彼にしがみつく。
この恋しい男を、たとえ神様にだって渡すものかと思うのだ。

川端柳が揺れる踊り場の風景や、厚化粧の商売女が、自殺した仲間を送る、昼下がりの葬列、そして、女たちが客を奪い合う、雨の夜の街角。
20世紀初めの風俗描写は、匂いこぼれる懐古ムードだ。

最終更新日:2024-07-13 16:00:01

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