ジェラシー(1970) 作品情報
じぇらしー
ローマの或る夜、共産党の集会のあと片づげに行ったレンガ職人オレステ(M・マストロヤンニ)はビラの屑の中で眠りこけているうち、腕の中に美しい娘を抱いていた。名前はアデライデ(M・ビッティ)という花売娘だが、以前からオレステに秘かな想いを寄せていたという。その日迄のオレステの人生は無味乾燥なもので、同情から結婚した年上でデブの女房アントニア(J・セラトーザ)との間は愛もセックスもない。だからオレステにとってアデライデの出現は正に旱天の慈雨であり、仲間のウーゴ(M・サルツォ)に“他は恋のトリコになった、人生まで変わった”とノロケる始末である。しかし、アデライデの姉のベテラン娼婦のシルバーナ(M・メルリーニ)は結婚している男との恋愛はロクな結果にならないよとアデライデに忠告する。そして彼女の予言通り、二人の恋はアントニアに感づかれアデライデと彼女は壮絶なつかみ合いを演ずるが、アデライデはノサれてしまい病院に担ぎ込まれる。病床に駆けつけたオレステは妻の許を飛び出すと宣言してアデライデを感激させた。ところが退院祝いに食べに行ったピッツァ料理店でアデライデはハート型に焼き上がったピッツァを見て驚く。それは、カウンターにいるピッツァ職人のネロ(G・ジャンニーニ)が彼女に一目惚れしての行為であった。そして或る雨の秋の夜。寂しくなったオレステはアデライデに電話を掛けるのだが、妙に上ずった声で今夜は来ないでと断わられ、ふと疑惑を覚える。そうなのだ。彼女のベッドに居たのはネロであった。しかし、それどころかオレステとネロは共産党のデモで警官隊とヤリ合ううちに知り合い、無二の親友になったのだからヤヤこしくなった。最初のうちは三人とも仲が良かったのだが、或る日、ネロとアデライデが激しく口ヅケをしているのを見たオレステは気も狂わんばかりのジェラシーに取りつかれる。そして、例のピッツァ料理店で大暴れを引き起こしてしまう。二人の間にはさまったアデライデは両方を愛する故に苦しみ、毒をんで死のうとするが、再びかつぎ込まれた病院では、二人の男が花束を抱えて現われるのであった、心配した姉が自分の常客で成金肉屋アンブレト(H・コルテス)を紹介して結婚を勧めるが、優しいだけで頭の足りない男との生活は彼女にとって耐え難かった。アデライデがいなくなったオレステの毎日はヤブレカブレであり、恋と階級論はどう結び付くの?とトンチンカンな事も言い出すので党の同志達も逃げ出す仕末。一方、ネロの方も失意のあまり、自殺を試みるが果たせず、例の病院にかつぎ込まれる。それがアデライデをいたく感動させたらしく彼女はネロの元へ走った。いよいよアデライテとネロの結婚式の日。人影のない市場を教会へ向う二人は、屑の山の中にボロボロになって寝ているオレステを発見する。意識朦朧だったオレステも彼女の純白のドレスを見て事態の全てを察すると、憤りが胸いっぱいにこみ上げて来た。理性を失くした彼は、ネロを殴るうちに、剪花用のハサミを手にし、ハズミで仲裁に入ったアデライデを刺してしまう。瀕死の彼女は“オレステあんたが一番好きだったのョ……”と囁いて息たえた。情状酌量でほどなく釈放されたオレステだったがもはや生きるのぞみはなかった。寂しい人生が持っていた。
「ジェラシー(1970)」の解説
美しい花売娘に惚れられたのが運のツキで女房も忘れ恋敵と争ううち、あやまって彼女を刺し殺さざるをえなくなったイタリア男の悲喜劇。製作はピオ・アンジェレッティとアドリアーノ・デ・ミケーリ、監督は「もしお許し願えれば -女について話しましょう」のエットーレ・スコラ、脚本はスコラとアジェノーレ・インクロッチ、フリオ・スカルペッリの共同で、撮影は「赤い砂漠」のカルロ・ディ・パルマ、音楽を「昨日・今日・明日」のアルマンド・トロバヨーリ、美術はルチアーノ・リッケリ、編集をアルベルト・ガリッティが各々担当。出演は「ひまわり」のマルチェロ・マストロヤンニ、「唇からナイフ」「結婚大追跡」のモニカ・ヴィッティ、「サンタ・ビットリアの秘密」のジャンカルロ・ジャンニーニ、その他マノーロ・サルツォ、マリサ・メルリーニ、ヘラクレス・コルテス、ジョゼフィーナ・セラトーザなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1971年2月20日 |
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キャスト |
監督:エットーレ・スコラ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ モニカ・ヴィッティ ジャンカルロ・ジャンニーニ マノーロ・サルツォ マリサ・メルリーニ ヘラクレス・コルテス ジョゼフィーナ・セラトーザ |
配給 | ワーナー・ブラザース |
制作国 | イタリア スペイン(1970) |
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