サテリコン 作品情報
さてりこん
紀元前のローマ。世は頽廃の極に達し、人々はただ快楽を求め、快楽に溺れていた。学生のエンコルピオ(M・ポター)とアシルト(H・ケラー)も、獣のように快楽を求め、冒険に身を投げ出していた。二人は友人であり、美少年ジトン(M・ボーン)をめぐっての恋仇でもあった。そして、アシルトにジトンを奪われ絶望したエンコルピオは、酒池肉林の宴であるトリマルキオ(M・ロマニョリ)の宴会にでかけた。そこには、このローマ市民の頽廃の代表的な光景が、ぶかっこうに展開され、トリマルキオの淫蕩な妻フォルチュナタ(M・ノエル)も、女友達と戯れていた。その狂乱の中からエンコルピオは、老詩人エモルポ(S・ランドーネ)を救い、二人は知人となった。翌朝、エンコルピオは、アシルトやジトンとともに、少年狩りにひっかかり、貴族リーカ(A・キュニー)の軍船に運ばれた。リーカはエンコルピオを愛し、彼と結婚の儀式をあげた。この頃、若き皇帝(T・ロバート)が暗殺され、粛清軍隊が貴族を襲い、リーカも殺された。それを彼の寵姫トリファエナ(キャプシーヌ)は、冷然とみていた。エンコルピオとアシルトはやがて釈放された。爛熟したローマは、ようやくその崩壊のきしみをはじめたが、二人の学生には関係なかった。彼等は、色情狂の夫人を慰め、金儲けの為、生神様を誘拐したりした。そうした時、エンコルピオは突然闘技に狩り出され、命は助かったものの、精魂つきた彼は性的不能に陥ってしまった。彼を侮蔑の淵から救い出したのは、アシルトと、今は富を握ったエモルポであった。女魔術師エノテアによって、エンコルピオは回復したが、その時には、アシルトは盗賊に襲われ、殺されていた。エジブトへ船出するというエモルポをエンコルピオが訪れると彼もまた死んでしまい、遺書に財産相続を願うものは、我が屍肉を食え、と書いてあった。若い船長と共に船出しながら、人間が人間の肉をくらう異様な光景をみていたエンコルピオは、静かに笑い出し、やがてそれは、すべてを否と諾の呪縛からときはなつような、壮大な笑いにかわっていった。
「サテリコン」の解説
暴君ネロの寵臣ペトロニウスが描いた爛熟、頽廃のローマを、現代との酷似状況としてとらえた壮大な風刺劇。製作は「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」のアルベルト・グリマルディ、監督は「魂のジュリエッタ」のフェデリコ・フェリーニ。脚本はフェデリコ・フェリーニと「華やかな魔女たち」のベルナルディーノ・ザッポーニ、撮影は「華やかな魔女たち」のジュゼッペ・ロトゥンノ、音楽は「ロミオとジュリエット(1968)」のニーノ・ロータ、美術はルイジ・スカッチアノス、セット及び衣裳はダニロ・ドナーチ、特殊効果はアドリアーノ・ピチウッタ、編集はルッジェーロ・マストロヤンニがそれぞれ担当。出演は三人の新人マーティン・ポッター、ハイラム・ケラー、マックス・ボーン、ほかに、サルヴォ・ランドーネ、マリオ・ロマニョリ、アラン・キュニー、キャプシーヌ、タニア・ロパート、サルヴォ・ランドーネなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1970年9月12日 |
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キャスト |
監督:フェデリコ・フェリーニ
出演:マーティン・ポッター ハイラム・ケラー サルヴォ・ランドーネ マックス・ボーン マリオ・ロマニョリ キャプシーヌ アラン・キュニー ファンフラ |
配給 | ユナイト |
制作国 | イタリア(1970) |
上映時間 | 128分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-09-25
幻想と虚像の入り組む中に、フェデリコ・フェリーニ監督の凄まじいイマジネーションが繰り広げられる。
ローマ=神=キリスト以前の世界が絢爛とした中に展開され、観ている我々にとって、それは地獄絵図のように思われる。
性の根源への遠い旅路か、神の故郷への冒険か。
煌めく死を、めくるめく愛の地獄絵図が展開する。
色彩は幽玄、音楽は地の底の曲。
魔の感動へ誘う、名匠フェリーニの鮮烈の傑作だ。