革命前夜 感想・レビュー 2件

かくめいぜんや

総合評価5点、「革命前夜」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-06-10

友人はかなりの映画好きで、映画ネタを熱く語ります。
ファブリツィオは、それほど映画通ではないので、半分上の空で聞いているのですが、映画好きな友人は熱心に「ハンフリー・ボガートとローレン・バコールの『三つ数えろ』はどうたらこうたら」とか「アンナ・カリーナがどうたらこうたら」などと喋りまくるのです。

私は、この映画ネタシーンを何度も巻き戻しては、繰り返し観てしまいました。
ベルトルッチ監督の原点が、ゴダール監督であることがミエミエで非常に興味深かったですね。

このファブリツィオには婚約者がいて、彼は、結婚直前に他の街からやってくる叔母であるジーナと火遊びのような恋をしてしまうのですが、二人のベッドシーンが実に官能的なのです。
この見せ方は、見事としか言いようがありません。
この時代、ハリウッドにはヘイズコードがありましたが、イタリアにはなかったんですね。

とにかく、私に戦慄を与え、刺激してやまないこの映画は、即興風の演出、本の朗読や引用が多用され、ヌーヴェル・ヴァーグの影響が随所に現われ、ブルジョワ青年の苦悩を抒情的に描いた青春映画の忘れられない名作となったのです。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-10

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

この映画「革命前夜」は、いろんな意味で、物凄い衝撃を受けた作品です。

今では巨匠と呼ばれているベルナルド・ベルトルッチ監督が、22歳の時に撮った長編第2作で、1960年代の地方ブルジョワの精神状況を、みずみずしいタッチで描いた半自伝的な作品なのです。

この映画は1964年の作品ですが、今観ても少しも古くささを感じさせない斬新なカメラワーク、卓越した脚本、そして主演の二人の素晴らしいこと。

音楽はエンニオ・モリコーネで、切なくて美しいメロディの音楽が映像とぴったりと合っていて、胸を揺さぶります。
モノクロなのですが、映像そのものが、どのシーンもとても色っぽいのです。
それは、セクシーという意味ではなく、艶やかと言ったほうがいいのかもしれません。

地方都市パルマのブルジョワ出身の青年ファブリツィオは、コミュニストであることを自認している。
しかし、同じ年頃の友人アゴスティーノの死や、若い叔母との近親相姦的な恋愛を経験して、次第に自分の思想の欺瞞性に思い悩むようになるのです。

結局、ファブリツィオは、自分がブルジョワの一員であることを受け入れ、ブルジョワの婚約者と結婚することになるのです。 この映画でいちばん絶賛したいのは、ズバリ、脚本です。 思わず書きとめたくなるような詩的で印象的なセリフが、全編に散りばめられているのです。 例えば、主人公のファブリツィオ(フランチェスコ・バリッリ)が、恋をする相手であり叔母さんであるジーナ(アドリアーナ・アスティ)が、「あなたは私の倦怠の治療薬」などと言うのです。ドキッとするセリフもあるし、なるほどなとうなずいてしまうセリフもあるし、本当に魅力にあふれています。 そして、映画の中盤あたりで、ファブリツィオとその友人が、ジャン・リュック・ゴダール監督の「女は女である」という映画を観て、映画館から出てきて、喫茶店でお茶を飲むシーンがあります。

最終更新日:2024-06-20 16:00:02

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