黒い瞳(1987) 感想・レビュー 1件

くろいひとみ

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P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-05-20

この映画「黒い瞳」の原作は、チェーホフの「小犬を連れた貴婦人」を基にしている。
チェーホフのこの原作は、今までにも映画化されていますが、この作品の監督ニキータ・ミハルコフは、原作にちょっとしたひねりをつけ、ほろ苦さのあるコメディに仕上げていると思う。

主人公のロマーノ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、ブルジョワの娘エリザ(シルヴァーナ・マンガーノ)と結婚してもう25年もたっている。

怠け者のロマーノは、もう何年も働かず怠惰な生活を送っている。
彼は、たまたま出かけた湯治場で、小犬を連れた貴婦人(エレナ・ソフォーノワ)を見かけ心を奪われる。
彼は、貴婦人の黒い瞳が忘れられず、ロシアへ帰った彼女の後を追って、かの地へと赴くのだ。

ストーリの骨組みはこのような内容ですが、この映画の見どころは、名優マルチェロ・マストロヤンニが扮するロマーノの駄目男ぶりだろう。

つまり、カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した、マストロヤンニのうまさが見どころになっていて、男のずるさ、いい加減さをたっぷりと、薄気味悪いほど見事に演じている。

一見にやけた二枚目にも見えるマストロヤンニですが、この人は意外と硬派な経歴を持っているんですね。 1923年生まれというから、世代的には戦中派で、実際、第二次世界大戦には出征し、イタリアが降伏した後は、北ドイツの強制収容所に入れられ、しかも、そこを脱走してヴェネチアへ逃げ込んだというから凄い。 この「黒い瞳」は、広大なロシアの風景も見どころにもなっていて、撮影は、イタリアと当時のソ連で行なわれ、ソ連ではレニングラード、ボルガ地方、ラドガ湖近辺で行なわれたそうです。 ロマーノの馬車が、ロシアの草原でジプシーの馬車と出会うシーンは、ことのほか美しく、フランシス・レイの流麗な音楽も、実に効果的だ。 ラストシーン近くでロマーノが、「今死んで、神様に何か聞かれたら、何も答えるものがない。子供の頃、母が歌ってくれた子守唄と、エリザの初夜の表情、そしてロシアの霧だけだ。」と、こんなことを言って目に涙をためる。 マルチェロ・マストロヤンニという俳優は、本当に人間の喜怒哀楽を巧みに演じる、見事な名優だと思いますね。

最終更新日:2024-05-30 16:00:01

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