P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-13
かつて社交界で羽振りをきかし、今はアル中となって、療養所で暮らすアラン。
彼はすでに死に取り憑かれ、2日後に自殺することを決意していた。
そして、その2日間、アランは、かつての知人たちを訪れるが、孤独感をつのらせるばかりだった。
療養所に戻ったアランは、ピストルの引き金を引く。
このフランス映画「鬼火」は、自殺を決意した男の2日間を描いた秀作だ。
原作は、ドリュ・ラ・ロシェルの「ゆらめく炎」だが、当時のルイ・マル監督の周辺で、自殺が相次いだことから、企画されたといわれ、ルイ・マル監督の中でも異色と言える。
死に取り憑かれた主人公の話のため、暗く観念的な映画であるが、その主人公をモーリス・ロネが実にうまく演じており、一種のデカダンスに満ちた主人公役には、まさに適役だ。
そして、エリック・サティの音楽も効果的だ。