007/オクトパシー 作品情報
だぶるおーせぶんおくとぱしー
中南米の某国。軍事基地に潜入した英国情報部員ジェームス・ボンド(ロジャー・ムーア)は、いったんは捕われるが、一瞬のスキをついて脱出。特製小型ジェット機アクロスターを操縦し、敵のミサイルとの空中チェイスの末に、格納庫をすり抜け、ミサイルは格納庫で爆破した。一方、ベルリンでは009が、イギリス大使館に倒れ込み息をひき取る。手からころげおちたのが、偽のファベルジュ・エッグ。本物はロンドンで競売にふされることになっている。M(ロバート・ブラウン)に009の仕事を引きつぐよう命せられたボンドは、競売場でエッグをインドの王族カマル・カーノ(ルイ・ジュールダン)とせりあいスキをみて、本物を偽物とすり換える。そうとは知らずに、カマルは偽物をせり落して引きあげた。その頃、クレムリンでは、ゴーゴル将軍(ウォルター・ゴテル)の宥和政策を、オーロフ将軍(スティーヴン・バーコフ)が批難し攻撃を主張していた。ボンドはカマルの後を追って、インドのウダイプールに行き、現地情報部員ヴィジャイ(ヴィジャイ・アムリトラジ)に出迎えられる。ボンドの出現をあやしんだカマルは、殺し屋ゴビンダ(カビール・ベディ)を派遣するが、ボンドは雑踏の中でみごとに撃退し、秘密のアジトで、Q(デズモンド・ルウェリン)から小型電波受信器などを受けとった。カマルの愛人マグダ(クリスティーナ・ウェイボーン)がボンドに接近し、ベッドをともにする。マグダは小型電波発信器をしくんだ偽のエッグを盗んで逃げ出す。ボンドは後頭部を一撃されて失神、気づいた時には、山の頂上にある宮殿にとじ込められていた。ソ連のヘリがやってきて、オーロフが降り立つ。受信器から、「クレムリンの宝石」「ベルリンのカールマルクスシュタット」といった言葉が聞こえてくる。ボンドは死体の袋に入って宮殿を脱出。カマルは象に乗って、ボンドを追撃する。あやうく、ボンドは観光船に逃げ込む。ボンドはマグダの肌に彫られていたタコの刺青から、オクトパシーという女の存在を知る。彼女はカマルのパートナーで、オクトパシー・サーカスのオーナーだという。オクトパシーの住む小島の宮殿に侵入するボンド。オクトパシー(モード・アダムス)は、公金を横領し自殺した情報部員の娘だった。ボンドは彼女から情報をひきだそうと、ベッドヘ誘う。そこヘ、不気味な殺し屋たちが、襲撃してきた。死闘の末に、彼らの息の根を止めたボンドは、ベルリンに向かう。カールマルクスシュタットではオクトパシー・サーカスが興行していた。カマル、オクトパシー、オーロフらは、クレムリンの宝石を偽物とすり換え、サーカスを隠れみのにして国境を越えようとしているのだった。しかし、実はカマルとオーロフは次の興行地であるフェルトシュタットの米軍基地で核弾頭を爆破させようとしていた。米の威信が失墜すれば、ソ連が有利になるという考えからだ。オーロフは、しかし、ゴーゴルに追われて死亡する。ボンドはフェルトシュタットの米軍基地に突入し、危ういところで核弾頭から時限装置をとりはずす。一足早くインドに逃げ帰ったカマルの裏切りを怒ったオクトパシーは、輩下のオクトパシー・ガールズとともに山の宮殿を襲撃。熱気球にのってQとボンドがやって来た。オクトパシーを人質にしてカマルは軽飛行機で逃走。ボンドは軽飛行機にとびつき、ゴビンダを翼の上で激闘の末に倒し、オクトパシーを救出。軽飛行機は操縦不能になり、カマルをのせたまま墜落し炎上する。
「007/オクトパシー」の解説
米軍基地爆破を企む悪人たちの謀略に挑む英国情報部員ジェームス・ボンド。62年の「ドクター・ノオ」以来、シリーズ化されたボンド活躍譚もこの作品で13本目になる。製作はシリーズ全作品を手掛けているアルバート・R・ブロッコリ。エグゼキュティヴ・プロデユーサーはマイケル・G・ウィルソン。監督は前作「007/ユア・アイズ・オンリー」(81)に引きつづきジョン・グレン。イアン・フレミングの短編小説とオリジナル・キャラクターに基づいて、作家で「三・四銃士」の脚本家であるジョージ・マクドナルド・フレーザーが脚色。その脚本をリチャード・メイバウムとマイケル・G・ウィルソンが全面的に書き直して映画台本にした。撮影はアラン・ヒューム。音楽のジョン・バリー、メイン・タイトル・デザイナーのモーリス・バインダー、プロダクション・デザイナーのピーター・ラモントの三人は、ボンド・シリーズの常連。主題歌の「オール・タイム・ハイ」をリタ・クーリッジが歌っている。特殊効果はジョン・リチャードソン、編集はジョン・グローヴァーが担当。出演は、この映画で六回目のボンド役になるロジャー・ムーア、「007/黄金銃を持つ男」(74)についで二度目のボンド映画出演になるモード・アダムス、ルイ・ジュールダン、クリスティーナ・ウェイボーン、スティーヴン・バーコフ、カビール・ベディ、ヴィジャイ・アムリトラジ、「007/ユア・アイズ・オンリー」のウォルター・ゴテル、ミス・マネーペニー役で唯ひとりシリーズ全作品に出ているロイス・マックスウェルなど。テクニカラー(プリントはメトロカラー)、パナビジョン。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1983年7月2日 |
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キャスト |
監督:ジョン・グレン
原作:イアン・フレミング 出演:ロジャー・ムーア モード・アダムス ルイ・ジュールダン クリスティーナ・ウェイボーン スティーヴン・バーコフ カビール・ベディ デイヴィッド・メイヤー トニー・メイヤー デズモンド・ルウェリン ヴィジャイ・アムリトラジ ウォルター・ゴテル ロバート・ブラウン ジェフリー・キーン ロイス・マックスウェル |
配給 | MGM=UA=CIC |
制作国 | イギリス(1983) |
上映時間 | 130分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-17
この映画「007/オクトパシー」は、シリーズ13作目の作品で、三代目ジェームズ・ボンド役のロジャー・ムーアも、すっかり落ち着いて、堂々たる貫禄だ。
20年間に13本と作品が続いていて、大ヒットしたからといって乱作せず、一本一本に新しいアイディアを傾注とていった、その努力が、この面白さを生んでいるのだろう。
今回の題名のオクチートパシーとは蛸の事。
実はオクトパスと言わずに、オクトパシーと呼ぶところが、いかにも007らしい楽しさが隠されていると思う。
原音では、オクトプシーと発音しているのだが、プシイとは可愛子ちゃん、更に女性のポイントという意味がある。
蛸の吸盤とかけてあるところなんか、思わずニンマリとするところですね。
このオクトパシーと呼ばれる謎の美女が、ソ連の野心家の将軍と手を結んで、陰謀を企んでいるのだが、お馴染みジェームズ・ボンドが、乗り込んで、その陰謀を探るのだ。
まあ、よくぞ考えたと思われる程、危機また危機の痛快アクション。
まさに、連続活劇の復活を思わせるのだ。
この映画の公開当時は、SF映画がブームになっていた時代で、SF風のストーリーを考えるのが普通だ。 ところが、何とこの映画は、SF的な素材をいっさい排して、ジェームズ・ボンドが肉体を駆使して闘う、連続活劇そのものに徹して見せるのだ。 走る列車の中や、屋根での大アクション。 空飛ぶ飛行機の上での格闘。まさに映画の原点に帰った面白さ。 この映画のプロデューサーのアルバート・ブロッコリが、根っからの商売人で、観客を楽しませる事だけに考えを集中して、何のテライもない事が、この成果に繋がったのだろう。 インド・ロケの魅力もたっぷりだが、ジョン・グレン監督の、対象を常に大きく掴んで見せる演出の勝利だと思う。 後半で、オクトパシー美女軍団が、アマゾネスばりに活躍するあたりは、いささか邪劇めいた雰囲気もあるが、少しも画面から目を離せない、スリルの盛り上げはさすがだ。