エド・ウッド 感想・レビュー 5件
えどうっど
総合評価5点、「エド・ウッド」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-14
とにかく、ベラ・ルゴシを初めとするエドウッド映画の常連出演者たちというのが、全く”可愛いフリークスたち”と呼びたいような顔ぶれなのだ。
実在した人物で、「アマデウス」で私がそのツルツルの異様な顔面に狂喜したジェフリー・ジョーンズが演じている、いんちき預言者のクリズウェル、プロレスラーあがりで目の悪い大男トー・ジョンソン、とんでもなく、くびれたウエストを持つ女ヴァンバイア、そしてビル・マーレイが控え目な演技で、不思議な暖かさを漂わせて絶妙に演じた、ホモ・セクシュアルの友人バニー。
こういう”浮世離れ”した人物たちに、ティム・バートン監督の”共感と思慕”が捧げられているのであって、殊更に奇抜なことのようには描いておらず、非常に微笑ましくも好感が持てるのだ。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-14
みすぼらしいスタジオの中で、スタッフの一人が、ライバルのボリス・カーロフの名前を口にした途端、「ファック・ユー!」と激怒するのだが、「アクション!」の合図がかかった途端、コローッと変わって、悲劇的な威厳に満ちた人物になりきる。
力強く”Beware!”と語り始め、”Pull the strings!”と語り終わる——。
その一つ繋がりの場面に、役者の性とか凄みを目のあたりにして、思わず目頭が熱くなってきた。
それから、ブツブツ文句を言いながらも、突如、大ダコと迫真の”格闘”をしてしまうところなども、本当に凄い。
そして、”Home”で始まる長ゼリフにも胸を打たれる。
「故郷---。私には故郷なぞない。世間の人々に追われ、さげすまれて逃れて来た、この密林こそ私の故郷。今こそ世間に重い知らせてやる。私の産み出した原始人間たちが世界を征服するのだ---。」
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-14
ハリウッド映画界の、一筋のおかしな血の流れ。精神的な血縁関係。
それがこの映画に、「愛」と「時間」の厚味を与えているのだと思う。
エド・ウッドを演じたジョニー・デップは、いつもの「暗い翳りを帯びたナイーブな人間」というのと全く違ったキャラクターを、非常にうまくこなしている。
何しろ、このエド・ウッドという男は、感動的なまでに思い込みが激しい、空回り野郎なのだ。
顔はいつも上方45度を見上げ、目はキラキラ、口もとはニカーッとマンガ的な芝居だが、決して”演りすぎ”の感じはしない。
特に、映画製作会社を口説く時の眉の動きが凄い!! うねる、うねる。
しかし、何と言っても圧倒的に素晴らしいのは、ベラ・ルゴシ役のマーティン・ランドーだ。
一世を風靡したが、今は落ち目の怪奇スターという、”華やかさと哀れさ”の同居する人物を見事に演じ切っている。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-14
ペラペラと薄っぺらで、安っぽくて、滑稽で、なんだか涙ぐましく美しい。
特に私が痺れたのは、大ダコと円盤のモダンアート的な画面の部分だ。
この「エド・ウッド」は、1950年代のハリウッド映画界の片隅のそのまた片隅のようなところに実在した監督エド・ウッドをめぐるお話だ。
エド・ウッド監督(ジョニー・デップ)は、1930年代にボリス・カーロフと並ぶ怪奇俳優として活躍した、晩年のベラ・ルゴシ(マーティン・ランドー)と出会い、何本かのSF・怪奇映画を撮り、不遇のまま死んだが、没後、”史上最低の映画監督”として、おかしなカルト的な人気を獲得するようになる。
作った映画もヘンテコなものだが、エド・ウッド自身も女装癖の衣装倒錯者で、やっぱり、ちょっとヘンテコな人だったようだ。
そのエド・ウッドを、「エドの同類」だと自認するティム・バートンが撮ったのだから面白い。
1950年代のヘンテコ監督エド・ウッドとベラ・ルゴシ、そして現代のヘンテコ監督ティム・バートンとベラ・ルゴシを演じるマーティン・ランドー、この二組の関係がオーバーラップする。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-14
この映画「エド・ウッド」は、”史上最低の映画監督”と言われたエド・ウッドの若き日を、彼をこよなく愛するティム・バートン監督が映画化した、非常に美しい作品だ。
主演にはティム・バートン監督が「シザー・ハンズ」で組んで以来、もはや彼の盟友ともなったジョニー・デップが好演しているが、それにも増して素晴らしかったのは、ベラ・ルゴシ役のマーティン・ランドーで、アカデミー賞の他、ゴールデン・グローブ賞など数々の賞で、最優秀助演男優賞を受賞しているのも納得の演技だ。
とにかく、この映画は冒頭のクレジット・タイトル場面から、グイグイと惹きずり込まれてしまう。
とある野原の一軒家。”風雲急を告げる”ような音楽。棺の中から起き上がり、もっともらしい予言をする怪人物、墓場。
そして、クネクネと脚をくねらす大ダコ、ツーツーと宙を飛ぶ円盤——。
ティム・バートン監督としては珍しいモノクロ画面に、子供じみたロマンティシズムが横溢している。