ハムネット 作品情報
はむねっと

1580年、イギリスの小さな村。皮手袋屋の息子として生まれ、普段は子どもたちに語学を教えているウィリアム・シェイクスピア(ポール・メスカル)はある日、教室の窓辺から見かけた鷹を操る女性アグネス(ジェシー・バックリー)に心惹かれる。やがて2人は恋に落ち、アグネスは妊娠。両家の反対を押し切って結婚するが、長女スザンナが誕生した後、ウィリアムは作家として成功を掴むため、単身ロンドンへ出稼ぎに。その後、双子の長男ハムネットと次女ジュディスが誕生すると、アグネスは夫不在のまま、3人の子育てや家事に奮闘する。それは、つつましくも幸せな日々だった。ところがあるとき、村に不穏な空気が流れ込み、一家に大きな不幸が降りかかる……。
「ハムネット」の解説
アカデミー賞作品賞に輝いた「ノマドランド」のクロエ・ジャオが、シェイクスピアの名作戯曲『ハムレット』誕生の裏に秘められた愛と悲劇を描いたヒューマンドラマ。原作は英女性小説賞、全米批評家協会賞を受賞したマギー・オファーレルの同名小説。出演は「ロスト・ドーター」のジェシー・バックリー、「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」のポール・メスカル。
公開日・キャスト、その他基本情報
| 公開日 | 2026年4月10日公開予定 |
|---|---|
| キャスト |
監督:クロエ・ジャオ
原作:マギー・オファーレル 出演:ジェシー・バックリー ポール・メスカル エミリー・ワトソン ジョー・アルウィン |
| 配給 | パルコ=ユニバーサル映画 |
| 制作国 | イギリス(2025) |
| 上映時間 | 126分 |
(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、1件の投稿があります。
P.N.「鎌倉の御隠居」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2025-11-13
原作は、新潮クレスト・ブックスのリストにに並ぶ一冊で、イギリス女性小説賞の冠がついた佳品。これをクロエ・ジャオが映画化すると知って、ずっと気になってならなかった作品である。今年のTIFFクロージングと告知されて以降、心待ちにしていた一本。シェイクスピアを大事にする者は、皆そうだろう。そう思う。
仕上がりは、ジョン・マッデンの往年の佳品『恋に落ちたシェイクスピア』とは、大きく異なるテイスト。当然である。『ノマド・ランド』で、フランシス・マクドーマンドの名演もあって一躍、世界を刮目させたクロエ・ジャオの監督、しかも脚本は、原作者マギー・オファーレルとの協働執筆。主演は、ジェシー・バックリーとポール・メスカルという共にアイルランド出身の若手大注目株。世界中を巻き込んだコロナ禍を経ての映画化ということも、作品に漂う悲しみの色合いをより深めている。加えて神秘性の豊潤さ。序盤の森の中での出産シーンが圧倒的である。その濃度は、ジェシー・バックリー扮する、アグネスがシェイクスピアの実家に嫁して後に双子を産む現況にかかる彼女の心情と周囲との思いとの間隔を説得力に満ちたものとして結実し、やがて迎えるシェイクスピア不在の意味深さを鮮明にする。傑作『ハムレット』の背景に、かかる深淵があったとは。観る者誰もが、そう納得することだろう。無論、フィクション要素巧みに彩色されているだろうが、これこそが16世紀の真実と得心させられる。初演舞台のリアル感が、実に見事で、シェイクスピアが妻アグネスとともに決して埋めようのない深い悲歎を、誰もに耳馴染んだ名科白に拠って昇華させていくラストシーンには胸深く突き動かされ言葉を失う。映像そのものの超絶かつスピリチュアルな手触りに陶然感を堪能しつつ、エンドロールを凝視し、優しく流れる歌声にも耳傾けされ、いつまでも続く余韻になかなか席を立てなかった。いささか気が早いかも知れないが本年度のオスカー最有力。傑作である。



