P.N.「横丁のご隠居」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2025-07-31
この春、リアルなコンクラーベによる新教皇選出と重なり、年長者こぞって映画館に足を運んだことが話題となったレイフ・ファインズ主演の『教皇選挙』を、配信開進初日に遅まきながら鑑賞。神聖であるべき教皇選挙が、実に人間臭大なる政治的格闘であること鮮やかに描出され、オスカー脚色賞に痛く納得したことだった。
物語を追うだけでいると、海外版ドキュメンタリーの手触りだが、アフガニスタンからの枢機卿と急遽招聘された尼僧との配置により、ドラマ度が一挙に深まり、上質なミステリーとして楽しめる結構となっている。そして誠に見事な結末。フィクションにリアルを体感してのカタルシス満ちて、観終わった瞬間の満足度が極めて高い佳品。作劇格あるべし、と評し、映画史に刻まれるだろう一本と位置付けたい。今なお劇場公開中とのことにも敬服、慶賀。