蔵のある街 感想・レビュー 2件

くらのあるまち

総合評価3.5点、「蔵のある街」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「ポン」さんからの投稿

評価
★★☆☆☆
投稿日
2025-07-30

MOVIX倉敷での先行公開に出かけてきました。

ウ~ン、ウ~ン、ウ~ン…いや、悪くはないと思いますが、結局ご当地映画によくありがちなことに落ち着きそうで…。

そりゃあいろんな方面から大人の事情があるのでしょうが、もう地元TVニュース(NHK・民放各局)、地元ラジオ局(AM、FM)、新聞社等マスメディアのこれでもかと言わんばかりのヨイショ報道にウンザリですわ。
 
数年前、岡山県でロケされた映画「でーれーガールズ」や「種まく旅人 夢のつぎ木」がそうだったように、地元だけが騒いで終わっちゃう典型的なご当地作品じゃないだろうか。事実倉敷はかなり客入りがいいようですが、岡山市内のシネコン2社(イオンシネマ、TOHOシネマズ)はこの作品を完全スルー。結局ミニシアターで8月8日から3週間だけの上映予定となりました。

職場の同僚に尋ねたら、この映画のこと知ってた方は数人。で見に行くかと聞いたら、「国宝」見たいという答えが多く返ってきました。

ご当地映画って所詮その程度の認知度だよね…。

P.N.「安曇」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2025-05-05

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

地元倉敷を舞台とした映画制作を切望されながら断り続けた平松監督だが、コロナ禍での花火打ち上げの実話を聞きようやく首を縦に振った。それがこの物語の種子であるのは事実だが、そうして立ち上がった企画も資金調達に至らず一度は頓挫し、パイロット版制作を通じて気運が高まり遂に映画化を実現したという「もう一つの実話」が、この物語を芽吹かせた慈雨だったように思う。(パイロット版と映画版でのいわば「窯変」はこのプロセスゆえに生じたのではないか)
40秒版予告編で高橋大輔演じる古城緑郎が「君たちが花火にこだわる理由は何?」と山時聡真が演じる蒼と櫻井健人が演じる祈一(黄)に問う言葉は様々な登場人物を通じて形を変えつつリフレインされ「綺麗なことは大切だよ」という真意に収束していく。それは現実に押し潰されそうな中島瑠菜演じる紅子が、感情を表現できないだけで自我を持つ兄きょんくん(演じるのは堀家一希)の自立に気づき、家族(白神家)との関係を再構築していくきっかけとなり、若者に振り回されているという認識だった大人たちに巡り巡って「ふるさととは」という当事者意識を生じさせた。
花火打ち上げの実話をベースにしながらも伝建地区である美観地区では花火は上げられない。それでも監督と実行委員会は美観地区に花火を上げた。心の中に花火を視ることが人にはできる。
120秒版予告編で古城が「想像してみませんか?」と語りかけるこの言葉は、現実を変えていくのは何なのかという問いでもある。
ファンタジーとリアルの狭間で。白赤青黄緑の風船を持つ橋爪功が何とも印象深い存在感を放っている。あれは映画冒頭の紅子の独白にある「絵の神様」なのではないかと思った。
明確に倉敷を映すが、ご当地もの映画には留まらない。見終わった後に感じるのは、考えさせられるのは、自らのふるさとや家族、大切な人々との「つながり」についてだった。

最終更新日:2025-08-01 16:00:01

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