裸者と死者 作品情報

日本軍が死守する太平洋の孤島にアメリカ軍の反抗作戦が決行された。上陸作戦総指揮官カミング将軍（レイモンド・マッシー）の見守るうちに、分隊長クロフト曹長（アルド・レイ）のひきいる一隊も孤島に上陸した。鬼曹長の異名をとる彼は日本軍の擲弾筒陣地を破壊し、裸にした捕虜の群に機銃を打ち込もうとしたが、司令部のハーン少尉（クリフ・ロバートソン）に制止された。上陸して司令部を橋頭堡に移したカミングス将軍は自分の友人の息子であるハーン少尉を副官として抜擢したが、少尉はこの特別待遇を喜ばず、ことごとに、特権的な将校達の生活に反抗の態度を示した。膠着状態の戦線には雨が降った。ずぶ濡れになったクロフト曹長は過去の雨の夜のことを思い出していた--納屋の乾草の上での恋人ミルドレッド（バーバラ・ニコルズ）との愛の一夜。しかし、結婚後、休暇を得て彼が帰った日、彼女はベッドの上に別の男といたのだ。クロフトの分隊は休養を与えられた。雨外套の内側に恋人リリー（L・S・シア）の絵をかいて、それにくるまって寝るウイルソンは、自製の蒸留器で怪しげなウイスキーを作った。ガラガアのもとには牧師を通じて妻の死が伝えられた。将軍は進捗せぬ作戦にあきたらず、クロフト曹長の分隊に島の背後から日本軍を偵察する命令を下した。清掃さんた将軍の部屋に吸殻を故意にすてたハーン少尉が、斥候隊の指揮を命じられた。分隊は舟艇で島の背後にまわり、密林難行軍がはじまった。無経験のハーン少尉の指揮に不満を感じたクロフト曹長は行手の日本兵陣地にしりごみする少尉に対して、部下に偽りの報告をさせ、強引に目的遂行を計った。しかしそのため少尉は負傷し3人の兵をつけて後送された。分隊指揮権を自分のものにしたクロフト曹長は5人の部下とあくまで前進した。しかしその曹長も、日本兵の狙撃にあっけなく死んだ。残った一行は密林中を移動する日本軍の大部隊を目撃し、無線で友軍に連絡した。海軍に援護を求めるためカミングス将軍の出かけた留守に、斥候隊よりの連絡で司令部は総攻撃を敢行した。今は残り少なくなった斥候隊は、死戦をさまよった末に、重傷のハーン少尉とともに陣地にたどりついた。カミングス将軍の怒りにもかかわらず、総攻撃は成功した。病舎にハーン少尉を見舞った将軍に、少尉は、兵士は将校の権力にのみ服従するものではなく、愛こそは権力に勝る力であることを、今は自分の確信として語るのだった。