P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-17
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
このかつての仲間が黒人で、はみ出し刑事がアイルランド系の白人。
刑事は、自分の手と黒人の手を手錠でつないで走るのだが、次第に二人の信頼感で強まっていく。
もちろん、これは言うまでもなく、スタンリー・クレイマー監督、トニー・カーチス、シドニー・ポワチエ主演の「手錠のままの脱獄」のアイディアをいただいている。
アメリカの混乱を乗り切るには、白人と黒人が手をつなぐしかないという訴えは、あの時代より遥かに実感をもって迫ってくる。
と言ってもシリアスにそれを描くのではなく、時にアクションで振り回し、時に笑い飛ばして見せる若さは、リアリズムを基調にした訴えではなく、”寓話”としての面白さを創り出して見せてくれる。
いくらアメリカでも、仮出所の囚人に警察手帳や拳銃を貸すなんてことは絶対にあり得ないのだが、その気にさせてしまうあたりが、当時、ニューアクションの旗手と言われたウォルター・ヒル監督の腕前なのだろう。
はみ出し刑事のニック・ノルティのウドの大木的なムード、エディ・マーフィの小賢しさ。 ともに演技というより、キャラクターの面白さで大いに楽しませてくれる。 白人と黒人が手を握って、その一方の凶悪犯側はプエルトリコ系やネイティブアメリカン系の青年。 結局、時代からはみ出していくものは、いつの時代も時の弱小民族なのだろうか。 こんなあたりにも、当時のアメリカの姿が見えて、まことに興味深い映画である。