P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2022-05-11
NHKBSPREMIUMcinemaではアルフレッド・ヒッチコック監督特集が続く…。今,何故ヒッチコック作品か,フランソワ・トリュフォー監督のinterview本などが記憶に新しい!
みしらぬじょうきゃく
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NHKBSPREMIUMcinemaではアルフレッド・ヒッチコック監督特集が続く…。今,何故ヒッチコック作品か,フランソワ・トリュフォー監督のinterview本などが記憶に新しい!
無声映画のmontage手法がクローズアップと共に効果的に用いられたヒッチコックtouchの魔術が堪能出来
映画の”王様”ヒッチコックの戦後の代表作の逸品。交換殺人を持ち掛けられたテニス選手が、相手の異常性に気付いた時には既に妻が殺害されており、告発するにも自分が殺人罪の嫌疑がかかる。妻と別居中の主人公には再婚を望む令嬢がいた。犯人の偽証拠作りの行動と主人公のテニス試合のカットバックをクライマックスの導入部にして、ラストのメリーゴーランドの暴走シーンを的確に捉えている。初歩的な映画話法のスローモーションや早送り、一般的な小道具であるライターやメガネの活用がヒッチコックの手にかかると最高のお手本となる。特筆は、主人公と尾行警察官が乗ったタクシーから視界に入る犯人の姿。眼に突き刺すほどの白い施設に不気味に存在する黒い物体。モノクロの映像を最大限に生かしたショットです。ブラックユーモアとシニカルな人間洞察。誰かに抱く殺意を、ほとんどの人が瞬間でも一度は抱いたことがあるのではないか。これが一番怖い。