ミッドナイト・エクスプレス 作品情報
みっどないとえくすぷれす
1970年、ニクソン政情下のアメリカは、中東諸国との関係を悪化させ、険悪な政治情勢が続いていた。そんな折、イスタンブール空港から、たまたま2キロのハシシ(麻薬)をアメリカへ運び出そうとしていたアメリカ青年ビリー・ヘイズ(ブラッド・デイビス)はハシシ密輸の罪で官憲に逮捕された。彼とトルコ当局の間に介入してきたのは、合衆国領事館の人間だと名のるテックス(ボー・ホプキンス)という男で、彼はビリーに売人逮捕への協力を要請した。やがてビリーは、セイガミルカー刑務所に移され、途方もない恐怖と孤独感に襲われる。単なるハシシ密輸の罪なのに、さも重罪人のように扱われるビリー。傷ついたビリーを看護してくれたのは、2人のアメリカ人、ジミー(ランディ・クェイド)とエリック(ノーバート・ワイザー)だった。そしてジミーはビリーに言った。「この刑務所に入れられたら、半病人になるか、深夜特急に乗るかのどちらかだ」と。深夜特急とは『脱獄』のことである。間もなくビリーの父親(マイク・ケリン)が駆けつけ、弁護士と合衆国領事館の手を借りて当局と戦うことになる。緊迫した国際情勢の中で、検察側の追及はきびしく、裁判でビリーは4年の刑を言い渡される。3年余の月日が流れ、刑期が終るのを心待ちに、ひたすら模範囚としてつとめあげてきたビリーは、意外なニュースを知らされる。裁判がやり直されるというのだ。裁判の結果、ビリーは刑期30年という途方もない判決を言い渡される。ビリーは、国際政治のかけひきという、目に見えぬ糸であやつられた最初のいけにえなのだった。互いに友情以上の愛を抱き合っていたエリックが保釈で出て行ったあと、ついにビリーは脱獄を決意する。彼はジミーと仲間のマックス(ジョン・ハート)とともに、誰も知らぬ地下壕への入口を発見するが、密告屋イエジル(フランコ・ディオジェーネ)の告げ口で、看守長ハミドゥ(ポール・スミス)の知るところとなり、ジミーが1人で脱獄の責めを負う。さらにマックスまで、イエジルの陰謀で廃人同様にされてしまい、怒ったビリーは、イエジルの口に自分の口をねじこみ彼の舌を食いちぎる。精神病棟に放りこまれたビリーは、ある日、恋人スーザン(アイリーン・ミラクル)の訪問を受け、彼女を裸にし、オナニーに熱中する。スーザンは、その姿を見て、涙を流し、言い聞かせる。「ここから出るのよ!」--その言葉通り1975年のある日、ついにビリーは『深夜特急』に乗った。
「ミッドナイト・エクスプレス」の解説
緊迫した国際情勢の中で、祖国からも見放され、異国の独房で絶望的な日々を送ることになる青年が、遂には脱獄を遂行するまでを実話を基に描く。製作総指揮は「ザ・ディープ」のピーター・グーバー、製作は「ダウンタウン物語」のデイビッド・パットナムとアラン・マーシャル、監督は「ダウンタウン物語」でトリオを組んだアラン・パーカー。ビリー・ヘイズの体験を基にした彼とウィリアム・ホッファーの原作をオリバー・ストーンが脚色。撮影はマイケル・セラシン、音楽はジオルジオ・モロデール、編集はジェリー・ハムブリング、美術はエバン・ハーキュレス、衣裳はミレナ・カノネロ、製作デザインはジョフリー・カークランドが各々担当。出演はTV「ルーツ」の新人ブラッド・デイビス、ランディ・クェイド、ボー・ホプキンス、ジョン・ハート、ポール・スミス、マイク・ケリン、ノーバート・ワイザー、アイリーン・ミラクル、パオロ・ボナチェック、マイケル・エンサイン、フランコ・ディオジェーネなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1978年10月21日 |
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配給 | コロムビア映画 |
制作国 | イギリス トルコ(1978) |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-02-12
このアラン・パーカー監督の「ミッドナイト・エクスプレス」は、麻薬所持の罪で、トルコの刑務所に投獄された青年が、自力で脱獄を企てるまでの、地獄の日々を描いた実話の映画化作品だ。
原作者のビリー・ヘイズが体験した獄中は、リアルで強烈な描写の連続だが、それゆえに、ラストの感動も大きい。
脚本は、オリバー・ストーンで、期待の新人と騒がれ、主人公を熱演したブラッド・ディヴィスは、1991年、41歳の若さでエイズのため、この世を去っている。