P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-10
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
この映画「真昼の死闘」は、主演のクリント・イーストウッドがイタリアで「荒野の用心棒」などで大ブレイク後、アメリカ映画界に凱旋帰国後の作品で、マカロニ・ウエスタンの時みたいな髭づらで登場するが、さすがにアメリカ映画だから泥臭くない。
まず岩陰の凹地で、シャーリー・マクレーンが、三人の無法者に丸ハダカにされている光景を悠然と楽しんでいたイーストウッドが、やおら拳銃をぶっぱなし、さらにダイナマイトに口火をつけて脅かした上で、あっという間に片づけてしまう。
そして、シャーリーに服を着ろと言うと、なんとこれがアマさんのいでたちなのだ。
映画を数多く観てきた者なら、シャーリーが尼僧なんて眉唾だと思うだろう。
ドン・シーゲル監督もその点を心得ていて、二人で旅するうちにイーストウッドが彼女に好意を持ってくるが、尼さんだと思うがゆえに、手が出せないというおかしみや、彼女が隠れて煙草を吸ったり、たびたび尻尾を出しそうになる場面を織り込んで、興味をつないでいくところは、さすがにドン・シーゲル監督うまい。
そして、もうひとつの興味は、各場面の芸のこまかさにあるんですね。 革命時代のメキシコで、威張っているフランス守備隊をやっつけ、大金をいただこうというイーストウッドが、スパイ行為でフランス側に追われるシャーリーと、数々の冒険を経てゲリラと合流し、敵の本拠の村を襲撃、大金も手に入れて、実は娼婦だったシャーリーとめでたく旅に出る。 この冒険の途中で、退治したガラガラ蛇を利用してフランス兵の眼をそらしたり、イーストウッドがインディアンに射込まれた矢を抜いたりする場面などを、こまかく丁寧に描写することで、面白さを出していると思う。 だから、ゲリラと一緒に村を攻撃するクライマックスが、かえってありふれた感じでつまらなくなったのが、ちょっと残念な気がしましたね。 それにしても、シャーリーが真っ赤なゴテゴテ衣裳になる最終のお笑いなど、やはり、役者としてはシャーリーの方がイーストウッドより一枚も二枚も上手ですね。