マシンガン・パニック 作品情報
ましんがんぱにっく
サンフランシスコ、現代。刑事デイブ・エバンスが、ある男を尾行していた。下町のバス停まで来ると、その男はエバンスをまこうとしてバスに飛び乗った。エバンスもそれを追ってバスに乗り込んだ。バスがサンフランシスコの街中のバス停にとまると、1人の男が乗り込んできた。その男は後部座席に陣どると,やがて大きなカバンの中から組立式の小型マシン・ガンを取り出した。手早く組み立てると、息をのむ間もなく引金を引いた。8人の乗客はバタバタ倒れた。運転手も射殺された。バスは歩道を突破して民家に突っ込んで止まり、犯人はそのまま立ち去った。急報に接していち早く駈けつけたのは、サンフランシスコ警察殺人課の刑事ジェーク・マーティン(ウォルター・マッソー)、レオ・ラーセン(ブルース・ダーン)、ジェームス・ラリモア(ルイス・ゴセット)の3名だった。バスの中は正視にたえない無残なものだった。早速、死体検証が始まり、マーティンがエバンスの死体を発見した。警察ではスタイナー警視(アンソニー・ザーブ)を首班とする捜査本部を設け、直ちに謎の大量殺人を解明すべく捜査に乗り出した。マーティンは永年コンビを組んできたエバンスが死んだために、スタイナーの命令によってラーセンと組むことになった。彼はエバンスのガールフレンドだったケイ・バトラー(キャシー・リー・クロスビー)を訪ね、いろいろ話を聞いた結果エバンスは、2年ほど前にマーティンが解決しようとして果たせなかったある殺人事件の捜査を1人で続けていたに相違ないと断定した。マーティンとラーセンは、サンフランシスコの暗黒街に姿を現わし、ギャンブラーの巣窟、ポルノ劇場、ゲイボーイ酒場、安宿などシラミつぶしに捜査して廻った。そんなハードな捜査の合間をみながらマーティンは、ときおり自宅へ帰った。唯一の慰めは13歳になる娘デビーに会うことだった。一方、他の刑事たちは、殺された乗客たちの身内の者から手掛りを得ようと調査を続けていたが、やがてマーティンはエバンスが数年前の未解決事件、テレサ殺人事件の捜査を続けていたことをつきとめた。テレサはカメレロ(アルバート・ポールセン)の情婦だったが、男に棄てられたあげく絞殺体となって発見されたのだ。マーティンは、エバンスが捜査したいた線に従い、テレサ殺人事件とバス虐殺事件は何らかの関係があるのではないかと思い始めた。スタイナーやラーセンには反対されたが、マーティンには確信があった。彼はカメレロの正体をさぐり始め、そのつかみどころのない性格に事件の真相を見る思いがした。ベトナムから帰って以来、やたらと人を殺したがり、変態性欲者でもあった。ある日、マーティンが尾行していると、トランクをかかえたカメレロがバスに乗り込んだ。危険を感じたマーティンはすぐラーセンに連絡をとり、バスを尾行するよう頼んで自分もバスに乗り込んだ。案の定だった。カメレロは小型マシン・ガンを組み立て始めたのだ。だがマーティンには手の打ちようがなかった。そのとき、バスの隣を走っていた車の中からラーセンがカメレロめがけて発砲した。弾丸はカメレロの胸をぶち抜いた。
「マシンガン・パニック」の解説
謎に充ちたバス乗客虐殺事件を追う私服刑事の活躍を描くミステリー・スリラー。製作・監督は「幸せはパリで」のスチュワート・ローゼンバーグ、脚本はトーマス・リックマン、原作はペール・ヴァールーとマイ・ジューヴァルの夫妻共同の「笑う警官」、撮影はデイヴィッド・M・ウォルシュ、音楽はチャールズ・フォックス、編集はロバート・ワイマンが各々担当。出演はウォルター・マッソー、ブルース・ダーン、ルイス・ゴセット・ジュニア、アルバート・ポールセン、アンソニー・ザーブ、バル・エイバリー、キャシー・リー・クロスビーなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1976年1月15日 |
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配給 | 20世紀フォックス |
制作国 | アメリカ(1974) |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、2件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-06-07
MWA賞の最優秀長編賞受賞の世界的なベストセラー小説「笑う警官」の舞台をサンフランシスコに移して映画化した作品が、 「マシンガン・パニック」ですね。
この映画「マシンガン・パニック」は、ペール・ヴァールーとマイ・シューヴァルのおしどりコンビによる、アメリカの推理小説の最高賞と言われる、MWA賞の最優秀長編賞を受賞した、我々ミステリー・ファンにはお馴染みの"マルティン・ベック"シリーズの「笑う警官」という世界的なベストセラー小説の映画化作品。
この映画が日本で公開された1970年代半ばは、パニック映画の全盛期で、この映画もそうした時代の風潮の中で、原作の内容とはほとんど関係のないような、「マシンガン・パニック」というとんでもない題名が、配給会社によって付けられたという背景があります。
原作は、冬のスウェーデンのストックホルムで起こった謎のバス乗客虐殺事件を、マルティン・ベックを初め、数人の刑事がコツコツと地道に調べ歩き、意外な人物を真犯人として逮捕するという捜査的な興味を加味した推理小説ですが、トーマス・リックマンがシナリオ化して、「暴力脱獄」「ブルベイカー」のスチュアート・ローゼンバーグが監督したこの映画は、中年の2人組刑事の足による追求に重点をおいて、いかにもアメリカ映画らしい捜査ドラマに作り変えられています。 そこが、この映画の面白さであると同時に、弱点にもなっているような気がします。 原作の舞台であるストックホルムをサンフランシスコに置き換え、主人公のマルティン・ベックは、ジャック・マーティンという名前に変えられ、「おかしな二人」などの喜劇で名をあげた、ウォルター・マッソーが扮して、いつもの彼とはうってかわった、渋い演技を見せています。 そして、彼とコンビを組むレオ・ラーセン刑事に扮しているのは、「ヒッチコックのファミリー・プロット」のブルース・ダーンで、ユーモラスな味を出してなかなか良い演技を見せています。