P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-06-19
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
当然の事ながら、この映画はサスペンス・スリラーの神様、アルフレッド・ヒッチコック監督の熱烈な信奉者で、その作品も一作毎にヒッチコック監督タッチの演出技法を駆使し、オマージュを捧げ続ける、「殺しのドレス」、「ミッドナイトクロス」のブライアン・デ・パルマ監督が、ヒッチコック監督の代表作の「めまい」と「裏窓」を題材に、ひとつの物語に状況設定をしてオマージュを捧げた映画なのです。
恋してしまった女を三流役者が延々と追うところ----。色情狂ともいえるこの女性との太陽の下でのラブシーンを、360度回転させながら撮りあげる場面。
元ネタがわかっていても、思わず膝をのり出さずにはいられない面白さ。
本当に、デ・パルマ監督はヒッチコック監督が好きで好きでたまらないのが、よくわかります。
師匠のヒッチコック監督も、ケレン味たっぷりの面白さがありましたが、デ・パルマ監督は、それをもっとどぎつく、血みどろの演出で我々観る者の心を氷つかせます。
ドリルが美女を刺し通し、更に下の部屋の天井へ突き抜けて血をしたたらせる描写等、本筋には関係のないところで、デ・パルマタッチを炸裂させて、まさしく地獄絵の歓喜と恐怖を増幅させていくのです。 とにかく、意外な真犯人の登場するラストまで、官能シーンを織り込んだ緻密な構成、凝った音楽の効果等、デ・パルマワールド全開で、刺激たっぷり、トリックいっぱい、映画の遊びを存分に楽しませてくれる作品です。