フォロー・ミー 作品情報
ふぉろーみー
英国の上流階級に属し地位も財産も申し分ない1流会計士チャールズ(マイケル・ジェイスント)には深刻な悩みが1つあった。それは新妻ベリンダ(ミア・ファロー)が、この頃、浮気しているのではないか、という疑いにつきまとわれていたからだ。チャールズは私立探偵のクリストフォルー(トポル)に妻の調査を依頼し、結婚のいきさつを語った。ベリンダが小さなレストランで、料理の名前さえよく覚えていない新米のウエイトレスをしていたこと、そしてそのあどけなさに惹かれて結婚を申し込んだこと。だがカリフォルニアでヒッピーの群れに身を投じたこともある自由人のベリンダにしてみれば、結婚後の彼の仕事一辺倒の生活には息のつまる毎日だった。馴れない社交や、上流人の生活をのがれて、人間らしいささやかな愛と自由を求めて、浜辺で夕陽を眺めたり、サファリ公園でイルカを見ていたり、イーストエンドのパブで踊ったりしていた。クリストフォルーはベリンダの追跡を開始した。彼女は最初のうちは彼を気味悪がっていたが、次第に彼のやさしさと愛情にあふれたまなざしに心ふれあうものを感じるようになった。語ることのない、みつめあうだけの追跡。幾日かの間ですっかり信じあうようになってしまった。10日後クリストフォルーはチャールズに報告をした。彼女にやましいところがない、だが“恋人”がいるかもしれない、と。その報告を受けたチャールズは、ベリンダを怒鳴った。彼女は“家庭には愛が必要なのにこの家にはしきたりだけしかない。”と悲しそうにつぶやき自分の潔白を語った。“ただ、見知らぬ男が、いつも私をつけてきて、いつか心のふれあいを感じるようになったのは事実だが”と。これを聞いたチャールズはクリストフォルーのアパートへ飛びこんだ。ベリンダも後に続き、男の正体が自分の素行を調べていた私立探偵であることを知り、大きく失望した。それ以後、彼女は家に帰ってこなかった。2人は、必死に彼女を捜した。やがてクリストフォルーが彼女をみつけたのは、かつて2人が黙って歩いた熱帯植物園だった。クリストフォルーは2人がうまくいけるように案をさずけた。語らずに互いにみつめあい、1定の距離をおいていつも一緒にを。ある晴れた日、テムズ河の遊覧船には、クリストフォルーの白いレインコートを着て、少し離れたところからベリンダをみつめているチャールズの姿があった。
「フォロー・ミー」の解説
人間が本来最も大切にすべき心あたたまる人と人とのふれあいを、ロンドンの街を背景に描く。製作はハル・B・ウォリス、監督は「オリバー!」のキャロル・リード。ピーター・シェーファーが書いた1幕物の芝居の台本を彼自身が脚本化した。撮影はクリストファー・チャリス、音楽はジョン・バリー、編集はアニー・V・コーターズが各々担当。出演はミア・ファロー、トポル、マイケル・ジェイストン、マーガレット・ローリングスなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1973年1月13日 |
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配給 | ユニヴァーサル=CIC |
制作国 | イギリス(1972) |
上映時間 | 95分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、3件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-13
この映画「フォロー・ミー」は、「第三の男」や「オリバー!」などの名匠キャロル・リード監督が、ピーター・シェーファーのひと幕ものの舞台劇を映画化した作品で、テーマ曲も大ヒットし、ロンドンの穴場的なスポットを回るロケーションも楽しい、ロマンティックな恋愛劇の佳作です。
映画自体は小粒ですが、さすがにキャロル・リード監督の素晴らしさを堪能できる作品だと思う。
権威主義に凝り固まっているイギリスの上流階級の青年が、野育ちであまり教養もないアメリカ娘をお嫁さんに貰ったのはいいが、花嫁はこの固苦しいばかりで退屈な上流社会の生活が気づまりで、毎日外出してぼんやりとロンドンの街中を歩き回る。
夫はてっきり、妻が浮気をしているのだと思って探偵をつける。
するとこの探偵が尾行しながら、すっかり彼女を愛してしまう。