P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-06-03
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
チャールズ・ブロンソンにしてみたら、マイケル・ウィナー監督のシャープな映像感覚が気にいって、自身のアクション映画に起用していくのですが、イギリス時代に「明日に賭ける」「脱走山脈」「栄光への賭け」といった、現代的なテーマに果敢に挑み、シャープな映像感覚と鋭い問題意識でキラリと光る秀作を撮り続けて来たマイケル・ウィナー監督が、ブロンソンとの運命的な出会いによって、いわばブロンソンの御用監督的な、通俗的な職人監督に堕していったのが、惜しまれます。
この映画は、南北戦争が終わった直後、アパッチのチャト(チャールズ・ブロンソン)は、インディアン立ち入り禁止の白人の酒場で酒を飲んでいました。
だが、それを見た保安官は、いきなり銃を抜いてチャトを殺そうとしますが、逆に殺されてしまいます。
町の人々は、追手の隊を元南軍将校のホイットモア(シェーンの悪役で有名なジャック・パランス)を中心に編成して追跡して行きます。
そして、この追跡隊とまともに戦っては勝ち目がないと思ったチャトは、自分が手の平のように知り尽くした山岳地帯に立て籠もって戦おうとします。
追跡隊は、まんまとチャトの術中にはまり、ひとり、また、ひとりと倒されていくのであった----というストーリーです。 この映画の製作意図として、「イギリス人が西部劇を作ったって少しも不思議じゃないだろう。現代のアメリカ人だって開拓時代のアメリカを知っている訳じゃないんだから----」と、マイケル・ウィナー監督は語っていて、チャールズ・ブロンソンが彼の長い下積み時代に、何度も演じて来たインディアン役に再挑戦させたのです。 それも、それまでのインディアンの定番であった、敵役ではなく、白人を相手にした主役としてのインディアンで、最初は白人に従順な感じで、おとなしいインディアンと白人の混血のチャトは、ある事件をきっかけに、突如、逞しい戦士に早変わりし、無法な白人相手に果敢に戦いを挑んで行くのです。 そういう意味では、英国スタッフのスペイン・ロケによるアメリカ製西部劇という違和感が少しも感じられない作品だったとは思います。