チャトズ・ランド 作品情報
ちゃとずらんど
南北が終わって数年。まだアメリカ南西部には荒んだ気風がみなぎっていた。ある日、町の酒場にアパッチが入ってきて酒を頼んだ。インディアンに酒を売ることは禁じられている。店にいた保安官はいきなり拳銃を抜いたが、逆に射殺されてしまう。人々が呆気にとられているうちにアパッチは姿を消してしまった。直ちに追跡隊が編成された。指揮者は元南軍将校のクインシー・ホイットモア(ジャック・パランス)、彼の親友ナイ・ビュール(リチャード・ベースハート)、ジョシュア・エバレット(ジェームズ・ウィットモア)、町の有力者を自認するジュバル(サイモン・オークランド)とその弟たちだった。たかがインディアン1人、半日あればカタがつくと思っていた追跡隊は、やがてその甘さを思い知らされた。追跡隊の1時間先を行きながら、急ぐでもなく隠れるでもなく、歴然と足跡を残し、時には姿をちらつかせながら、次第に彼らを険阻な山岳の奥深く誘導していくアパッチ、チャト(チャールズ・ブロンソン)。そこは既に、チャトの勢力圏だった。チャトは狩猟民族特有の鋭い観察眼を持って一行を観察していたのだ。やがて追跡隊から最初の犠牲者が出、翌朝、いつの間にか水筒は切り裂かれ、馬が追い散らされていた。追跡隊はホイットモアの勧告に従い退却すべきだったが、虫けら同様に思っているアパッチに翻弄された無念に人々は猛り狂った。3人、4人、チャトの攻撃が開始され、静かに、だが確実に追跡隊のメンバーは殺されていった。チャトの作戦の鮮やかさに戦慄を覚えたホイットモアは断固引き揚げを主張したが、弟2人を殺されたジュバルはチャトを殺すまでは絶対に引かぬと執拗に主張し、皆を脅した。遂にジュバルはホイットモアさえ殺してしまった。残されたのはジュバルと、引き揚げを主張するマレキーとローガンの3人だけになってしまった。追跡隊を全滅に追い込んだのは、ジュバルの執念だ。マレキーたちはホイットモアを葬る時、彼を殺してしまった。今、広大な荒野に生存するのはこの2人ばかり、再び恐ろしい夜が訪れた。銃声と共にマレキーが倒れた。馬を乗りつぶしたローガンは駆けだした。その後を疲れもみせずに追うチャトの姿は、この天地を支配する王者のようだった。
「チャトズ・ランド」の解説
正当防衛で保安官を殺したアパッチ族のチャトと、彼を追いつめて殺そうとする白人追跡者の攻防戦を描く。製作・監督は前作「追跡者」で初めて西部劇に取り組んだマイケル・ウィナー、スタッフは「追跡者」同様、脚本ジェラルド・ウィルソン、撮影ロバート・ペインター、音楽ジェリー・フィールディング、編集フレディ・ウィルソンが各々担当。出演はチャールズ・ブロンソン、ジャック・パランス、リチャード・ベースハート、ジェームズ・ウィットモア、サイモン・オークランド、ラルフ・ウェイトなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1972年6月24日 |
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配給 | ユナイト |
制作国 | アメリカ(1972) |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、2件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-06-03
"チャールズ・ブロンソンとマイケル・ウィナー監督が運命的な出会いを果たした異色西部劇 「チャトズ・ランド」"
この映画「チャトズ・ランド」は、イギリス出身の映画監督マイケル・ウィナーが、バート・ランカスター主演で撮った「追跡者」に次いで、製作・監督に当たった、英国スタッフにて、全編スペイン・ロケによるアメリカ製西部劇とも言える作品で、この英国スタッフで西部劇に挑戦するというところに、当時のマイケル・ウィナー監督の心意気が感じられます。
主演は、フランスに渡り、アラン・ドロンと共演し、ドロンを完全に食ってしまう存在感を示した「さらば友よ」や、名匠ルネ・クレマン監督と組んだサスペンス映画の傑作「雨の訪問者」などで、主演も張れるスターとしてブレークしたチャールズ・ブロンソンが、「バラキ」の後に主演した映画で、この「チャトズ・ランド」でマイケル・ウィナー監督とよほど気が合ったのか、この作品の後、マイケル・ウィナー監督と「メカニック」「シンジケート」「狼よさらば」----と立て続けにコンビを組んでいく事になります。