P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-10
このアラン・J・パクラ監督の「ソフィーの選択」の男女の主人公たちは、若き日に大きな心の傷を受けて、生涯その痛みに耐えて生き抜いた人たちだ。
ポーランド女性のメリル・ストリープが演じるソフィーは、ナチスの脅威を説いていた、大学教授の父親とその弟子の夫とを、ドイツ軍に連れ去られて、殺された過去を持つ女性だ。
彼女自身も、闇のハムを買った為に逮捕され、ユダヤ人でもないのに、難民収容所行きとなった。
その時、腕に刻みこまれた囚人ナンバーと、愛する者を奪っていった、キリストへの抗議から、自ら手首を切った傷あとは、彼女の身体から永久に消える事がなかった。
底知れぬ痛みに耐えて、戦後を生きるソフィーには、救いのない結末が待っている。
十字架を背負った女性の悲劇を描いて、アラン・J・パクラ監督は、観る者を深い思いにふけらせる。