スポイラース(1942) 作品情報
すぽいらーす
1900年、アラスカのノームは、一獲千金の夢を追う荒くれ男達が、街や酒場に溢れていた。鉱山の横領事件や、殺人等は日常茶飯事であった。鉄拳と拳銃と黄金が、それぞれに唸りを生じて動いていた。老いも若きも目の色を変えて金をつかむ事に夢中であった。だから法律等は、無論守られようはずはなかった。この街も御多聞に洩れず、夜毎日毎拳銃の音の絶え間がなかった。強い者が法律であった。その法律を握っている男が、外ならぬ鉱山監督官のマクナマラである。彼の顎の動き方ひとつで、鉱山は右から左へと持主が変ってしまうのである。今やこの町はマクナマラの目の動きに、総てを支配されていた。ある日この港町にシスコから船がついた。鉄火金髪の酒場女チエリイがくびったけの男ロイもこの船で帰って来ることになっていた。ところが船から下りて来たロイの横に美しい娘が寄り添っている。その娘はこの町で、マクナマラと組んで、有望なロイの金鉱を手に入れようとやって来た判事の娘であった。もはやその娘に、心を傾けているロイを見ると、チエリイは火の機に怒ってしまった。旧交を暖めようとやって来たロイの横っ面を、チエリイは張り飛ばしてしまったのである。ロイはサヨナラと出て行った。だがチエリイには、ロイを思い切ることが出来ない。彼女の脳はうずくのである。するとその悩みに乗じてこの酒場の賭場係りブランコが長い間の想いをぶちまける。だがチエリイには、ブランコの愛を受け入れる気持ちは少しもなかった。そんなことがあっている中に、ロイの鉱山はマクナマラと判事の仕組んだ芝居に引っかかって、マクナマラの手に落ちようとしていた。チエリイはマクナマラの奸計を知った。愛する男ロイを助けねばならぬ。チエリイは自分で判事の娘に会いに行った。娘から総てを聞いた。娘は父親の悪だくみにいたたまれなくなりもはやロイをあきらめて、この町を去ろうとしていたのである。快漢ロイも総てを知った。悪だくみが法律ならばそんな法律は、海に叩き込んでしまえ。ロイは遂に鉄拳をもってマクナマラを懲す可く、酒場で悠然とブランディのコップを口にしていたマクナマラの前に現われた。飛ぶ鉄拳、凄まじい格闘が起った。そしてロイはマクナマラを街路に叩き伸ばした。だがロイもくたくたになって倒れた。しかし彼は優しい手に抱き起された。チエリイの涙ぐんだ瞳が彼をのぞき込んでいた。
「スポイラース(1942)」の解説
1914年ウィリアム・ファーナム主演(シーリグ作品)22年ミルトン・シルス(ゴールドウィン作品)30年ゲイリー・クーパー(パラマウント作品)と既に3回も映画化されたレックス・ビーチの名作の4回目のユニヴァーサル作品。製作は第1回目の監督者フランク・ロイドが独立プロとしてこれを作り、監督にはレイ・エンライトが当たった。出演者には主演者の他に往年の西部劇の名優ハリー・ケイリー、懐かしのリチャード・バーセルメス、第1回作の主演者ウィリアム・ファーナムを加えている。撮影はミルトン・クラスナー。最後の大格闘には「平原児」「太平洋」の活劇場面を担当したリーヴス・イースンが特に当たっている。
公開日・キャスト、その他基本情報
制作国 | アメリカ(1942) |
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