上海から来た女(1947) 作品情報
しゃんはいからきたおんな
宵闇深まるニューヨークはセントラルパーク。散歩中のマイク(オーソン・ウェルズ)は、美しい女エルザ(リタ・ヘイワース)と出会う。その場は冷たくあしらわれたマイクだが、別れてしばらく後、彼女の悲鳴が聞こえた。かけつけたマイクは暴漢に襲われてるエルザを見た。彼女を助け駐車場まで送った彼は、彼女が弁護士で資産家のバニスター(エヴェレット・スローン)の妻であることを知る。マイクが仕事を探していると聞いたエルザは、夫がカリブへのヨット航海をするので船員として働かないかと誘う。翌日、船員斡旋所に来たバニスターに気に入られたマイクは、気が乗らないながらも船員として雇われることになった。目的地はサンフランシスコ。航海は順調に続き、マイクとエルザは親密になってくる。だが気がかりなのは、バニスターの顧問弁護士を自称するグリズビー(グレン・アンダース)の存在だった。サンフランシスコでグリズビーに会ったマイクは、奇妙な申し出をうけた。「グリズビーを殺したのは私です」という書類にサインすれば5千ドル与えるというのだ。即答をさけた彼はエルザと会う。彼女は駆けおちしようといい、その資金のため、彼は書類にサインした。そして再び、エルザの元へ向かう途中、マイクは非常検問にぶつかる。何と本当にグリズビーが殺されたのだ。あの書類を証拠にマイクは逮捕された。誰かの罠。殺人犯として公判に付された彼は、裁判所を脱走しチャイナ・タウンに逃げる。急に彼を襲う中国人。マイクは遊園地の全面鏡張りのマジックハウスに逃げ込む。やがてエルザが現われた。財産のため彼女とバニスターがしくんだ殺人だったのだ。やがて、バニスターも現われ、射ち合いになる。鏡に映し出される姿は、本物なのか否か。撃ちあいのすえ、エルザとバニスターは死んだ。残されたマイクは、ひとり街を去るのだった。
「上海から来た女(1947)」の解説
ふとしたキッカケで殺人事件に巻き込まれていく男を描くサスペンス・スリラー。製作・監督・脚本は「市民ケーン」のオーソン・ウェルズ、原作はシャーウッド・キング、撮影はチャールズ・ロートン・ジュニア、音楽はハインツ・ロームヘルドが各々担当。出演はリタ・ヘイワース、オーソン・ウェルズ、エベレット・スローン、グレン・アンダース、テッド・デ・コルシアなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1977年8月6日 |
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配給 | インターナショナル・プロモーション |
制作国 | アメリカ(1947) |
上映時間 | 87分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:4.33点★★★★☆、3件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-21
謎の女エルザ(リタ・ヘイワース)に恋してしまったマイク(オーソン・ウェルズ)。
全ての愛憎を絡めて、映画のクライマックスは遊園地のビックリハウスへと収束していきます。
四周が鏡の部屋。ウェルズとヘイワースと、そして彼女の夫。
三人の姿が、幾重にも重なり合って写ります。人間の愛憎の果てしなさを象徴するかのように——。
やがて誰かが誰かを撃ちます。
崩れる鏡と共に、三人の重なりあった像も崩れ落ちます。崩れ去った愛の象徴——。
ミラーフォーカスという映画史に残る素晴らしい映像技法。
この技法をマネしたのが、あのブルース・リー主演の「燃えよドラゴン」でのラストの鏡張りの部屋のシーン。
鏡とは、人を写すだけではなく、”人生そのもの”を写し続ける存在なのかも知れません。